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スターバックスは最近、米国の同社従業員の平均給与額が男女ともに全く同じで、給与格差がゼロとなっていると発表した。また、米国では人種間の給与格差も存在しないという。スターバックスは本当に、男女・人種間の給与格差を解消できたのだろうか?

給与の性差を示す値として用いられたのは、男女の収入中央値だった。同社は「世界の女性が受け取る給与の中央値は2019年、男性の中央値の98.3%となっています。米国では、この給与中央値の比率が女性も有色人種も100%です」としている。スターバックスの計算は正しいのだろうが、この結果は慎重に解釈すべきだと私は考えている。

私が言いたいのは、スターバックスが完全な平等を達成していないということではなく、もっと多くの情報が必要だということだ。大きな問題は、給与差の計算に中央値を利用したことにある。

中央値の問題

中央値はスターバックスだけが利用しているわけではなく、男女格差を計算する際に最も頻繁に用いられている。中央値の計算では、全員の給与を高い方から低い方へと並べ、その中央にある給与額を採用する。

外れ値を除外できる中央値は、米国の平均収入などの統計に使われてきた。こうすることで、ごく少数の高所得者が平均値に与える影響をなくし、偏りを減らすことができる。

しかし、そもそも偏りを測定しようとする場合には、話は別となる。給与額に存在する偏りを推定する場合、高所得者を排除してはいけない。こうした人こそ、白人男性になりがちだからだ。中央値ではなく平均値(全員の給料を合算し、人数で割ったもの)を使えば、収入が特に高い人も計算に含まれるようになる。国勢調査のデータを使って全米労働者の男女賃金格差を計算した場合、平均値は中央値よりもなんと5セント高くなる。

スターバックスが中央値を計算に使うことの問題点はここにある。同社は30万人近くの従業員を抱え、その大部分は店員として働いている。店員の賃金格差はおそらくゼロかそれに近いだろうし、同社はこうした数字を発表していることを称賛されるべきだ。しかし、中央値を使うと組織の上級管理職レベルの人の給与に関する情報はあまり得られない。

企業の経営層の人数は店員数と比較すると非常に小さいため、経営陣の給与は中央値の計算から除外されている。スターバックスの経営レベルにおける給与差がゼロなのかは全く分からない。

編集=遠藤宗生

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