アップルのセキュリティ強化で「Macの廃棄処分」が増加中

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アップルは、端末のセキュリティ対策において常に他社をリードしてきた。iOS端末には、端末が盗まれても第三者に使われないよう、ロックダウンする機能が搭載されている。

一方で、ユーザーがロック機能を解除しないまま下取りや買取りに出すと、使い物にならないので注意が必要だ。実際、毎月数千台のiOS端末がこの理由でスクラップされている。

アップルは、iPhoneやiPadのユーザーに対して、端末を下取りや買取りに出す前に、「アクティベーションロック」を解除する必要があると警告している。一度アクティベーションロックがかかると、アップルIDとパスワードを入力しないと解除することができない。

MacBookも「macOS Catalina」のリリースによってアクティベーションロック対応となり、同様の処置が必要となる。端末の修理情報を提供するサイト「iFixit」は、「Catalinaのリリースによって、多くの使用可能なMacが廃棄処分されることになるだろう」と警鐘を鳴らしている。

アップルは、端末のセキュリティ対策に誇りを持っている。近年、端末盗難が増加傾向にあるが、アクティベーションロックはそれを抑止する上で非常に効果的な機能だ。しかし、この機能によって、正常に動作する端末が世界中で数多く廃棄されているのもまた事実だ。

この問題の解決法は簡単だ。アップルの公式サイトに記載されている手順に従って端末を初期化し、アクティベーションロックと「iPhoneを探す」機能を解除するだけだ。これまでMacに搭載されていた「デバイスを探す」機能は異なるシステムを採用していたため、ユーザーが解除し忘れた場合にはバイパスすることが可能だった。

しかし、iFixit によると2018年以降モデルのMacには「T2」と呼ばれるセキュリティチップが搭載されたため、あらゆる操作にApple IDの入力が必要になったという。これはセキュリティ面では進歩と言えるが、端末の修理会社やリファービッシュ業者にとっては悪夢のような話だ。

リファービッシュ業界は、「アップルが製品の中古流通を阻害している」と主張している。ロックのかかったMacが山積みにされ、スクラップされている現状を、iFixitは「不必要なカオス」と表現している。

まだ使える高価な製品が廃棄されていることはもったいないだけでなく、「悪夢のような環境問題だ」との抗議の声もあがっている。

編集=上田裕資

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