テクノロジー

2019.12.17 07:30

AIによるファンド運用、その現状と将来

Getty Images


3人は、それぞれ蓄えを出し合い、エンジェル投資家から73万5000ドルの資金を獲得すると、上場投資信託(ETF)アドバイス企業「エキュボット(EquBot)」を創業した。自社開発の人工知能の性能を披露しようとしていたIBMも、ソフトウェアとハードウェアの導入費用12万ドルを信用貸付として支援してくれた。
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エキュボットは2年前、人工知能が運用する「AI Powered Equity ETF(AIEQ)」をスタート。ポートフォリオは、コンピューターの指示をもとに1日1回更新される。2018年には、AIが運用する国際株式取引も始めた。

カチュアは最高経営責任者(CEO)として、サンフランシスコで働く少数のスタッフと、インド・バンガロールにいるプログラマーならびに統計専門家17人を統括している。

同社のAIシステムが取り込むテキスト量は、ニュースやソーシャルメディア、証券取引委員会(SEC)への申告書類など、合わせて1日130万件にも上る。IBMのワトソンは、文章の内容を整理分類し、ノード数100万個のナレッジグラフへと送り込む。
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結びつけられるそれらのドット(点)は、(1万5000社のうちの)一企業かもしれないし、FDA(米食品医薬品局)といったキーワードかもしれない。あるいは、原油価格などの経済的要因である場合もある。点と点とを結びつける矢印の可能性は1兆パターンにも及ぶ。

脳内のニューロン結合を模したニューラルネットワーク内で試行錯誤が繰り返された末に、コンピューターは、重大な意味を持つ矢印に重みを付加する。システムはそうやって手探りしながら、インプットされたデータのなかの何が、1週間後、1か月後、1年後に株価へと波及効果をもたらすのかを見きわめていく。

エキュボットは、忙しい時には1日500兆回もの演算を行う。それを可能にしているのが、半導体メーカー「エヌビディア(Nvidia)」のグラフィックスチップだ。シリコン製の薄くて小さいこのチップは、もともとはゲーム内の異なる画像を同時処理してゲーマーを満足させるために設計されたものだが、ニューラルネットワークが並列計算を連続して集中的に処理するのに最適であることがわかった。このチップは、アマゾンがエキュボットやAI研究者に貸し出すコンピューティング能力の原動力にもなっている。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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