ランキングを作成した旅行ブロガーのアッシャー・ファーガソンとリリック・ファーガソン夫妻は、ゲイやレズビアン、トランスジェンダーの観光客に影響を与える可能性がある8つの要因を使って算出した「LGBTQ+危険度指数」を基に、観光客が多い150カ国を評価。
評価の基準とされた要素には、同性婚をめぐる法的状況や、労働者の権利の保護、差別禁止法の存在、反LGBTQ+法の存在などで、中には直接観光客に影響しないものもある。しかしファーガソン夫妻は、こうした要素はそれぞれの文化のLGBTQ+に対する姿勢を示す上で良い指標になると述べている。
権利の面で先進的なスウェーデン
スウェーデンには、LGBTQ+の権利をめぐる長い歴史がある。同国は1944年に同性間の性行為を合法化しており、性別適合手術を終えたトランスジェンダーの人の法的な性別変更を認めた最初の国でもある。
スウェーデンで同性間のシビルパートナーシップが合法化されたのは1995年で、2009年には同性婚も合法となった。デンマーク自殺防止研究所とストックホルム大学が行った共同調査では、デンマークとスウェーデンでは交際中のLGBTQ+の人の自殺率が大幅に下がったことが分かっている。
観光客に最も関係する点である性的指向や性自認、性表現に基づいた差別については、1987年から違法とされている。
米国の状況「まだまだ道のりは長い」
北欧を含む欧州諸国の多くは良い評価を受けたが、米国は南アフリカやウルグアイ、コロンビアよりも低い24位だった。
ファーガソン夫妻は英紙ガーディアンに対し、米国の順位が比較的低い理由の一つとして、地域によってLGBTQ+をめぐる状況が異なることを指摘。「米国ではLGBTQ+の権利について連邦法で定められた憲法上の保護や広範な保護がない」と述べている。
ファーガソン夫妻はまた、一部の州では同性愛の「宣伝」行為を禁じる法律が存在し、LGBTQ+の若者が得られる情報が不足している点を挙げ、「米国は大きく前進してきたが、LGBTQ+の権利、特にトランスジェンダーの若者の権利については、まだまだ道のりは長い」と補足した。