苦難にあえぐ石炭会社
石炭会社は次々に、不本意な決算を報告し、破産を申請している。現在の石炭価格は、2018年10月に記録された最近の高値から38%下落し、2016年の価格に逆戻りしており、財務的にはきわめて厳しい状況だ。
米石炭最大手ピーボディ・エナジー(Peabody Energy)が発表した9月締め四半期の1株あたり損失は、アナリストの予測よりも悪かった(予測0.41ドルに対して0.57ドル)。前年同期には、1株あたり0.63ドルの利益を出していた。
同社の売上は大幅に減少し、前年同期比21%減の14億ドル(約1524億円)だった。石炭価格の下落は決算に打撃を与えているが、販売量もほぼ9%減の4480万トンにまで落ち込んでいる。アナリストは2020年の1株あたりの損失についても1.07ドルと予測しており、展望はきわめて厳しい。
ブラックジュエル(Blackjewel)は7月1日に破産を申請し、およそ600人の労働者が影響を受けた。同社の炭鉱は別の会社が買収し、10月に採掘が再開したものの、健全な企業の姿とはいえない。
もうひとつの象徴的な例がマレー・エナジー(Murray Energy)だ。株式非公開の石炭会社としてはアメリカ最大、全体でも3位の規模を誇る同社は、10月末に破産を申請した。ピーボディが散々な決算を発表し、ダウ・ジョーンズの米国石炭指数が急落したのと同じころだ。
石炭火力発電所の相次ぐ閉鎖
米エネルギー情報局(EIA)によれば、「2010年から2019年第1四半期にかけて、アメリカの電力会社は546基を超える石炭火力発電所の閉鎖を発表した。その総発電量は合計102ギガワットにのぼる」という。
また、ここ数年の傾向だが、電力会社は以前と比べて、大規模で新しい石炭火力発電所を積極的に閉鎖しているようだ。
EIAによれば、「アメリカで2015年以降に閉鎖された石炭火力発電所は、全体的に見て、2015年以前に閉鎖された発電所よりも大規模で新しい。2018年にアメリカで閉鎖された石炭火力発電所の発電量は平均350メガワット(MW)、稼動年数は平均46年だった。それに対して、2015年に閉鎖された石炭火力発電所では、発電量は平均129MW、稼動年数は平均56年だった」