数年前ならば、これは単に求職活動の一部だと言われたかもしれない。音信不通になるこの行為は、英語で「ゴースティング(ghosting)」と呼ばれている。現在、この慣習は雇用主よりも求職者の間で広く行われるようになっている。
人材紹介会社ロバート・ハーフのポール・マクドナルド専務取締役は「現在は売り手市場だ。求職者には多くの選択肢がある」と述べた。
米労働統計局(BLS)によると、今年9月時点の米国の失業率は3.5%と低く、求職者は求人市場に楽観的だ。ロバート・ハーフの調査によると、求職者の28%が内定を一度承諾した後で取り消している。そのうち44%は、より魅力的な内定を他社から受けたことが理由だ。
複数の企業が特定の候補者の採用を計画している場合、その候補者は最初に受けた内定を承諾し、勤務開始日を決めた後にもう一社から内定を受け、1つ目の会社に知らせずに2つ目の会社の内定を承諾するかもしれない、とマクドナルドは述べている。求人情報サイト「インディード(Indeed)」によると、雇用主の83%は内定者からの通信が途絶えた経験があると報告しており、そのうち65%の企業は内定を承諾した候補者が勤務開始日に出勤しなかったことがあると答えた。
ロバート・ハーフの調査によると、内定者が現在の雇用主から対案を提示された後に連絡が途絶えたケースは27%、内定先企業に対する悪い評判を聞いた後に連絡が途絶えたケースは19%だ。
この現象を直接経験しているマクドナルドは、内定を承諾した後で雇用主との連絡を絶つだけでなく、面接に現れなかったり数回面接を受けた後で連絡手段を絶ったりする求職者もいると指摘している。このような事態を避けるため、雇用主はどうすればよいのだろう?
マクドナルドは、企業が候補者と絶え間なく連絡を交わし、採用された人材が出社しない状況に陥る可能性を最小化するようアドバイスしている。候補者が内定を承諾したら、人材を必要とする管理職は電子メールやテキストメッセージ、電話、実際に会うなどの手段を通し、連絡を取り続けるべきだ。