しかし、ロシア南部やカザフスタンから飛び立ったワシの一部が、当初の想定を超えてイランやパキスタンまで飛行したため、想定を超えるローミング費用の支払いを求められたという。
ロシアで育ったワシたちは、冬に備えて温暖な南アジアに移動する。研究チームはSMSで鳥の位置を把握し、衛星写真を用いてその様子を確認していた。ワシたちにはそれぞれ名前がつけられていたが、Minという名のワシが想定外の飛行を行ったため、予算の全てを使い果たすことになったという。
Minはカザフスタンを超えてイランまで飛行したが、現地からのSMSの送信コストは1件あたり77セントで、ロシア国内からの費用の25倍に達した。MinのSMSの通信費用は1日あたり110ドルにも及んだという。さらに別の鳥は、スーダンまで飛行したという。
予算を大幅に超えたため、ノヴォシビルスクの野生動物保護センターの研究チームは、借金で新たな資金を調達した。さらに、クラウドファンディングも実施し、4700ドルを超える支援金を獲得したという。
一方で、通信オペレータのMegafonはこれまでの通信費用の免除をオファーし、今後は格安の料金プランを利用可能にすると申し出た。これにより、研究チームは年内のリサーチを、費用の心配なく実施可能になった。
科学者たちがGPSではなく、SMSを研究に用いている理由は定かではない。しかし、今回の事例により、国をまたぐモバイル通信のコストが、想定をはるかに超えるものになることが明らかになった。