ロシアの科学者が「パケ死」寸前、渡り鳥の観察にSMS利用で

鷲(わし)/Getty Images

鷲(わし)の行動を観察していたロシアの科学チームが、一部の鳥たちがイランやパキスタンまで飛んで行ったため、多額の通信コストの支払いに直面したことが明らかになった。10月25日のBBCの記事によると、科学者らは13羽のソウゲンワシに通信デバイスを装着し、SMSを用いて渡りのルートを調査していたという。

しかし、ロシア南部やカザフスタンから飛び立ったワシの一部が、当初の想定を超えてイランやパキスタンまで飛行したため、想定を超えるローミング費用の支払いを求められたという。

ロシアで育ったワシたちは、冬に備えて温暖な南アジアに移動する。研究チームはSMSで鳥の位置を把握し、衛星写真を用いてその様子を確認していた。ワシたちにはそれぞれ名前がつけられていたが、Minという名のワシが想定外の飛行を行ったため、予算の全てを使い果たすことになったという。

Minはカザフスタンを超えてイランまで飛行したが、現地からのSMSの送信コストは1件あたり77セントで、ロシア国内からの費用の25倍に達した。MinのSMSの通信費用は1日あたり110ドルにも及んだという。さらに別の鳥は、スーダンまで飛行したという。

予算を大幅に超えたため、ノヴォシビルスクの野生動物保護センターの研究チームは、借金で新たな資金を調達した。さらに、クラウドファンディングも実施し、4700ドルを超える支援金を獲得したという。

一方で、通信オペレータのMegafonはこれまでの通信費用の免除をオファーし、今後は格安の料金プランを利用可能にすると申し出た。これにより、研究チームは年内のリサーチを、費用の心配なく実施可能になった。

科学者たちがGPSではなく、SMSを研究に用いている理由は定かではない。しかし、今回の事例により、国をまたぐモバイル通信のコストが、想定をはるかに超えるものになることが明らかになった。

編集=上田裕資

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