ビジネス

2019.10.30

インターンシップを必修化へ。IT業界の雄の「ミスマッチのない採用」

サイバーエージェント 曽山哲人

人事戦略に秀でた企業としてつとに名高いのが、IT業界の雄、サイバーエージェントだ。その採用手法は創意に満ちており、多くの企業の注目を集める。同社の曽山哲人取締役に話を聞いた。


「採用に全力を尽くす」と宣言するサイバーエージェントが、2020年新卒採用で新たに打ち出したのが「インターンシップの必須化」である。正確には、いわゆる総合職にあたるビジネスコース志望者を対象としており、エンジニア、デザイナー職については必須とはしていない。
 
ひと口にインターンシップといっても、その内容は多彩だ。新規事業開発や広告プラン立案、AbemaTVの企画立案など、約30種類に及ぶ。

こうした実践的なインターンシップを本選考の過程に組み入れる理由について、人事担当の曽山哲人取締役は「インターンシップの入り口を企業名にしないため」と説明する。どういうことか。

「当社には広告、メディア、ゲームなど、多様なビジネスがあります。ですから応募の時点で、自分の興味・関心に応じてエントリーしてもらい、インターンシップでは当該部署で実務を経験してもらいます。最初に入り口を絞るので、入ってからのミスマッチが少ないのです」

内容が実践的であることについては、同社が重視している「決断経験」が背景にある。若手にも裁量権を与えて人を育てるという基本方針は、採用においても変わらない。そのためインターンシップは、ビジネスのリアルな現場で、学生が決断経験を重ねるプログラムになっている。

インターンシップのもうひとつの効用は、目をかけてくれる先輩社員とのつながりができることにある。いわば、コミュニティの一員になったという実感をもって入社ができるので、これもまたミスマッチを防ぐことにつながる。

会社説明会、やめました

一般に企業は、採用広報の初期段階に志望学生を会場に集めて「会社説明会」を実施する。

サイバーエージェントは17年に、会社説明会をやめると発表し、オンラインでの会社説明会「サイブラリー」に切り替えている。

「現場の社員が、自分の言葉で事業について説明するのがサイブラリーの特徴です。これによって、よりリアルに事業について理解してもらえるという利点があります」(曽山取締役)
次ページ > 「常識」を疑った結果は、「いいことしかなかった」

文=間杉俊彦 写真=能仁広之

この記事は 「Forbes JAPAN 「スポーツ × ビジネス」は、アイデアの宝庫だ!12月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

ForbesBrandVoice

人気記事