ビジネス

2019.10.30

インターンシップを必修化へ。IT業界の雄の「ミスマッチのない採用」

サイバーエージェント 曽山哲人


それまでは、地方も含めて各回500名規模の会社説明会を年20~30回、実施していたが、オンラインにしたことで人事部の作業は著しく効率化され、空いた時間を別の仕事に回すことができた。さらにもうひとつ、大事な効用がある。1回限りのライブ型会社説明会と比べ、繰り返し観ることができる動画は、事前学習の効果が大きいということだ。

「動画で予習をしておいて、実際の研修の場では理解度の確認や討議を行う学習の形態を『反転学習』といいますが、それをもじって『反転採用』と呼んでいます」

動画だけでなく、ソーシャルメディアや、社長の藤田晋がやっているツイッターを通しても理解度は上がるという。

反転採用の導入により、人事スタッフは学生と対話する時間を増やすことができ、地方採用にも積極的に取り組んでいる。社員で地方に赴き、出張面接やワンデー・インターンシップを実施する「FLAT」は、情報格差の是正と学生の費用負担の軽減、多様性を取り入れるために始めた施策だ。
 
会社説明会という「常識」を疑った結果は、「いいことしかなかった」(曽山取締役)。

採用手法を編み出す発想は豊かだが、一つとして奇手奇策はない。そしていずれの手法も、経営方針、企業カルチャーを反映し、内定者に無理なくダイレクトに伝わっていることが感じられる。

サイバーエージェントが求める人材像は「素直でいい人」。2020年4月、グループ総計300名の新入社員を迎える。


曽山哲人◎1974年神奈川県生まれ。上智大学文学部卒業後、伊勢丹に新卒入社。99年、創業2年目のサイバーエージェントに転職。営業統括を経て2005年に人事本部長、08年に取締役就任。2016年より取締役人事総括。『クリエイティブ人事 個人を伸ばす、チームを活かす』『活躍する人のセオリー 強みを活かす』など、人事関連の著書も多い。

文=間杉俊彦 写真=能仁広之

この記事は 「Forbes JAPAN 「スポーツ × ビジネス」は、アイデアの宝庫だ!12月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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