2017年国際女性デー前日の3月7日、このFearless Girl像は、このチャージング・ブルと対峙する形で設置された。
チャージング・ブルと対峙する少女像は、女性リーダーをエンパワーメントする「起点」に(Getty Images)
攻撃的に荒ぶるオスに対峙して、毅然と立ち続ける恐れを知らぬ少女の姿は、またたく間に新たな観光名所となり、多くの人が一緒に撮った画像をSNSに投稿。当初1週間の予定で設置されたが、延長を求める声が相次ぎ、翌年の国際女性デーまで1年間の設置が決まった。ちなみに筆者は2018年10月にNYを訪れたのだが、Fearless Girlは、まだそこに存在していた。その後付近に移設されたが、いまだに保存されているという。
ツイッターでは46億回、インスタグラムでは7億4千5百万回表示され、商品である“SHE”ファンドは347%の増加を記録した。
人々が自ら発信したくなる「起点」をつくれ
この事例に学ぶべきことは、自分たちのメッセージを、直接人々に届けようとしなかったことだ。そうはせずに、人々が自ら参画し拡散してくれるような「起点」を作ったことである。起点をつくることでいわば「人々のメディア化」を狙い、意図通りに成功させたのだ。
このFearless Girlの事例から得られるヒントも、あなたご自身のコミュニケーションに活かせそうだ。
「家族は仲良くしよう」と言い続けるよりも、例えば同じ趣味の活動をするなど、家族皆が“参画”できる「起点」を作ることを考えてみる。会社の活性化を社員に直接伝えようとするのではなく、社員が自ら“参画”できるプロジェクト運営の仕組みを「起点」として作ってみる、といったことだ。
ソーシャルメディアが大きな力を持ついまの時代。人々は、一方的に“伝えられる”より、一緒に参画できるような「起点」を求めている。そんなふうに、考えられるのではないだろうか。
先進事例に学ぶ広告コミュニケーションのいま
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