ビジネス

2019.10.17 06:30

20歳で「遊び」から「ビジネス」へ。Hostyが福岡から描く、新しい宿泊のカタチ

Hosty代表取締役の山口博生


勤めていた会社をバレンタインデーで辞め、そこからホワイトデーまでの1カ月間で、PHPをひたすら勉強。そこで3つのサービスを立ち上げ、そのうちの1つであるAirbnb代行サービスに問い合わせが集中したという。そこでまず山口氏は、インバウンド向けのAirbnb代行に目を着けた。

創業後1〜2年は、Airbnbでの民泊代行事業で売上を伸ばして行ったHosty。当時、民泊代行業はブルーオーシャン。Hostyがその先駆けとなり、その後1年ほどで競合は130社ほど急激に現れたそうだ。

次々に競合が現れたことと、365日解禁と噂されていた民泊も180日になったこともあり、事業の未来が見えなくなった山口は民泊代行の事業をストップ。ピボットの意志を固めた。競合は依然として伸びていたが、Hostyは新規受け入れを停止し、顧客を解約させ、その間に新規事業の立ち上げに動いた。

「創業してから民泊の調子よく、毎月業績が2倍ぐらい伸びていき、1年目後半には黒字化して、2期は通期黒字でした。2期の途中でAirbnbをクローズしたので、最後のほうから赤字になっていき、どんどん会社の残金がなくなっていって。『あ、これはおわる』と思っていました」



ピボットした事業アイデアをもとに、数多くの投資家にプレゼンするものの出資者がなかなか見つからずにいた。「どうしたものか……」と今後に不安と焦りを感じていた山口だったが、ひょんなきっかけから投資家の島田亨を紹介してもらうことになり、彼に事業アイデアを提案。ダメ出しをもらいながら、ブラッシュアップした事業をアイデアを提案する。これを数回繰り返した後、無人ホテルの建売事業のアイデアが生まれ、島田から少額出資が決まった。

「当時、残金は数百万だったので会社は2カ月間くらいしか延命できない。その間にインキュベイトファンドの赤浦さんを紹介してもらい、『出資はするけど事業モデルはゼロから考えよう』と言われ、お金を切り詰めながら3カ月間くらい事業モデルのブレストをしました。その結果、mizukaのモデルができ、mizukaと無人ホテルの建売事業という2つの事業の検証に約1億出資してもらえました」

土地を購入し、無人のホテルを作り、売却するホテルの建売事業。融資する銀行も少なく、やっとの思いで融資を受けた銀行も問題が起き、希望の光が見えない状況だったため、すべてのホテルを売却し、mizukaに注力した。

Hostyが目指すのは、プラットフォームとしてのホテル

ホテルが現地サービスのハブとして役割を担うことをHostyは構想している。もともと、アセットビジネスであるホテル経営。しかしmizukaでは、ホテル経営をアセットライトにすることにより、サービス面での充実化を図っているのだ。

「mizukaの顧客を同じビル内の飲食店に送客することが実現できています。観光客がホテルに宿泊する際、『このあたりでどこがおいしいの?』ってフロントに聞くと思うんですよね。外国人比率が高いホテルほど、アテンドのニーズは高いと感じています。飲食の他にもレンタカーや観光スポットなど、ホテルのアテンドと紐付けできるビジネスは数多くあります。現地ビジネスに対して、アテンドの精度を上げて収益源にすることが今後の目標です」

ホテルを街のプラットフォームにするためにもまずは、拠点を増やすことが第一。福岡での知名度を獲得したmizukaは、これまでの成功の知見を活かし、東京進出も間近だ。

文=大木一真 写真=小田駿一

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