アドビデザインのDesignOpsチーム
──DesignOpsチームについても触れてさせてください。アドビのDesignOpsチームの体制や役割とは何でしょうか?
「私の組織のDesignOpsチームは、25名のメンバーで構成されていて、2つのグループに分かれています。 ひとつは、デザインプログラムマネジメントグループです。17名でデザインプロセスを推進しています。彼らは、デザインマネージャー、デザインディレクター、またはシニアデザインディレクターと提携し、彼らデザインリーダーのやるべき運用業務をすべてを引き受けています 。
また、すべてのデザインスプリントやデザインワークショップを運営しています。 これは本質的にかなり戦略的です。 彼らは、エンジニアリング側と連携して、全体のデザインプログラムを推進しています。 デザインプログラムマネージャーが運用業務を引き継ぐことで、デザインマネージャーは本来の彼らの仕事であるチームの管理、戦略的なデザイン思考、そしてデザイン作業に集中できるようになります。私のチームのデザインマネージャーの多くは、自分自身でもデザインを行う実践者でもあります。デザインプログラムマネージャーがいるから、彼らはマネジメントができるのです。
もうひとつのグループは8名のメンバーで、運用・人材育成的な役割を担います。彼らは予算を使って、デザイン強化プログラムを実行します。たとえばゲストスピーカーを招いてライティングワークショップを行ったり、多くの内部トレーニングを実施します。彼らは採用担当ではありませんが、採用チームとパートナーを組んで、新しいデザイナーを採用する際、チームとの最初のインターフェイスとなる採用プロセスを整えます。そして毎年、社内デザインサミットも開催しています。このサミットにはグローバルのデザインチーム全体が結集し、ビジネスユニット内の主要パートナーも参加して、3日間にわたるプログラムを行います。こちらのグループは私のチームの文化的側面といえます。」(マイロルド)
──2つのチーム体制にした背景には、DesignOpsにそもそも運用的側面と文化的側面という明確な機能の違いがあったからでしょうか?
「はい、コインの裏表のようにフォーカスするポイントが異なるのです。大規模なグローバルなデザインチームを運営していくには、適切なものを効率的にデザインしていくための、より深いプロセスプログラムマネジメントと、実際の予算、採用、文化を運用してくことの両方が必要です。そしてそれは私からも独立しています。」(マイロルド)
なぜ今Design Opsなのか?
──ここ2〜3年でDesignOpsという言葉と役割が定義されつつありますが、デザインの運用プロセスを整備する需要が増しているのはなぜでしょうか?
「いくつか理由があると思います。 まずは企業がデザインの価値と重要性を認識するようになったこと。 そしてデザインの価値を高め、最大化させるためには、デザイナーの時間とエネルギーを、デザインを生み出す作業に集中させる必要があるからです。そのためにはデザイン以外のスキル、つまりプロセスの改善が必要です。デザイナーもプロセス中心指向であり、常に改善しようとしていますが、デザイナーではない人も得意な分野です。だからアドビには、大規模なDesign Opsチームがあるのです。」(マイロルド)