#MeTooの思わぬ余波 女性採用を嫌う傾向、米調査で判明

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#MeToo運動が意図せずに生み出した影響は、悪化の一途をたどっているようだ。最初は、仕事でのメンタリングや個別ミーティング、交流の機会など、女性と一対一の交流を行うことを男性が避けていることを示す証拠が浮上。そして今度は、男性とのやり取りが必須とされる仕事への女性登用が減っている可能性があることが、米国で行われた新たな調査により判明した。

学術誌「Organizational Dynamics(組織ダイナミクス)」で発表予定の調査結果によると、出張などで男性との緊密な個人交流が必要とされる仕事に女性を採用することにためらいを感じる人の割合はなんと、男性では21%、女性では12%に上っている。これは自分の偏りに気が付いている人のみの割合であり、こうした仕事について無意識に男性を好んでいる人はさらに多いだろう。

さらに、魅力的な女性に対する偏見も明らかになっている。男性では5人に1人近く、女性では6%の人が、#MeToo運動の結果として魅力的な女性を採用する可能性が減ったと答えている。同調査は、#MeToo運動の結果として、女性と男性の両方が採用における行動を変化させていることを初めて示したものだ。

こうしたデータは非常に衝撃的だが、では#MeToo運動の悪影響を減らすためにできることとは何か? それは、職場の女性の数を増やすことだ。調査を行った研究チームによれば、組織や部署内の女性の数が多いほど、こうした悪影響やネガティブな態度が減る傾向にあるという。

皮肉なことに、#MeToo運動の結果として、女性の採用は増えるどころか減っている恐れがある。研究チームは「#MeToo運動が生む恐怖心により、女性の数が増えるどころか減ることが予想され得ることが、私たちのデータから示唆されている」と述べた。

研究チームはまた、このような意図せぬ無意識の行動を批判的な視点から観察する男女のワーキンググループを作ることを提案している。グループのメンバーらは、女性が除外されたり採用されなかったりした事例や、職場での性差別的な振る舞いに目を光らせる役割を担う。
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編集=遠藤宗生

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