太陽系外から来た「謎の彗星」が人類に届けるメッセージ

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観測史上2つ目の恒星間天体に関する研究が始まっている。8月下旬に、ボリソフ(2I/Borisov)と呼ばれる彗星をクリミアの天文家ゲナディー・ボリソフが発見した。この彗星は、2017年に発見されたオウムアムアに次いで観測史上2つ目の恒星間天体だ。

ボリソフ彗星は火星の軌道の方向に進み、太陽系を出ると二度と戻ってこないが、少なくとも1年間は観測できる見込みだ。この彗星を観測するために世界中の大型望遠鏡に予約が殺到している。

クイーンズ大学ベルファスト校のアラン・フィッツシモンズ(Alan Fitzimmons)の研究チームによって、ボリソフ彗星が太陽系内の彗星に似たような形でガスを放出していることが分かった。

「太陽系内の彗星のほとんどが持つシアンガスが検出された。ガスや塵の量を比較しても太陽系内の彗星に似ている。他のガスはまだ検出されていないが、存在すると見ている」とフィッツシモンズは述べた。

ボリソフ彗星とオウムアムアで大きく違うのは、後者は発見された時にはほとんど活動がなく、観測できる期間も数週間と短かったことだ。一方で太陽系に入ってきたばかりのボリソフ彗星は、詳しく研究するのに十分な時間があり、これまでにない形の他の惑星系の研究を可能にしてくれる。

「この彗星の特筆すべきところは、さほど特別でないことかもしれない。他の惑星系で生まれた天体だと分かっていなければ、太陽系の彗星だと間違えるだろう」とフィッツシモンズは言う。

つまり太陽系が特別な惑星系ではないということだけでなく、他の惑星系にも似たような彗星や惑星があり、ひいては水などの物質も存在する可能性を示しているのだ。ボリソフ彗星の研究で、新たな事実が判明するかもしれない。

また、「ボリソフ彗星の核のサイズも興味深い」と、2017年にオウムアムアを発見したハワイ大学マノア校のRobert Werykは述べている。核の直径は1.4~6.6キロメートルで、比較的小さい。

「今回の彗星は明るくて活発なため絶対に見過ごすことはない。オウムアムアはもっと暗く、速度も速かったため発見が難しかった。しかし、これまでボリソフ彗星と似たような天体を発見できなかったのは不思議だ」

ボリソフ彗星は研究が始まったばかりだが、すでに非常に興味深い事実が明らかになっている。この彗星は太陽系に非常に似た惑星系から来ていて、そこには水や生命も存在するのかもしれない。

編集=上田裕資

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