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前田裕二

なぜ前田裕二のSNS投稿は炎上に結びつかないのか──。経営者としてSNSを駆使しながら事業を拡大してきた前田裕二の戦略を聞く。

Forbes JAPANでは、9月25日発売の本誌で、「WHO IS THE TRUE INFLUENCER?」(真のインフルエンサーとは何だ?)と銘打ち、トップインフルエンサー50人を選出。

彼ら、彼女らの言葉やアドバイザリーボードたちの論考から、インフルエンサーなる現象を多角的に描く。



昨年12月末に発売された前田裕二の著書『メモの魔力』は、発売前からSNSで話題が沸騰した。出版不況、本が売れないと言われるこの時代に、SNSのオーディエンスを熱狂させ、発売2日で17万部の発行が確定したのだ。

その展開は革命的だった。出版業界はモノを売る業界であるにもかかわらず、顧客リストをもっていない不思議な業界だ。だが、31歳(当時)のIT起業家はSNSを駆使し、発売前に万単位の顧客リストをつくってしまった。累計部数は39万部を突破し、いまも売れ続けている。

「『メモの魔力』というタイトルを普通に発表しても面白くないので、“そうだ、クイズにしてみよう”と思いつき、ツイッターで“タイトルを当てた人全員とランチに行きます”と呼びかけました。するとこの企画がそれなりにバズって、メンションが殺到したのです。

この盛り上がりを受けて、次に考えたのが、通称『クレジット企画』。ツイッターで『人生の軸』を募集して、アカウント名と一緒に本の最後に載せようと思いつきました。映画のエンドロールを見ていてひらめいたのですが、みんなの『人生の軸』を本に掲載したら、読者はもはや単なる聴衆ではなく、仲間であり同志になれるのでは、と思いました。『一緒につくるビジネス書』って、いままでなかったんじゃないかと。

すると、前回をはるかに上回る何万ものメンションが飛んできて、ひっくり返りました」


『メモの魔力』の末尾を開くと、「未だ懲りず」「生涯現役」「クルマでアナタを笑顔にしたい」といった血の通った本気の言葉たちが、SNSのアカウント名とともにズラリと掲載されている。すべての投稿を載せたら60ページ使っても足りないことが発覚し、泣く泣く一部だけを本に掲載した。こうしたエピソードが、さらなる話題として広がっていった。

「キングコングの西野亮廣さんは、SNSをフル活用して、絵本という分野において歴史的ヒットを記録しました。『えんとつ町のプペル』ですね。西野さんがよく『絵本をひとりでつくって30万人に届けるのは難しいけど、30万人でつくれば、少なくとも30万人に届くでしょ』と言います。

『メモの魔力』のようなビジネス書は、原則、ビジネスや世の理をある種啓蒙的に一方通行で伝えるものです。でも、そんなビジネス書でも『読者と一緒につくる』方法はあるはず。そう考えていたとき、このアイデアを思いついたんです」

日本の歴史上、最もビジネス書を売りまくってきた経営者といえば「経営の神様」松下幸之助であり、稲盛和夫や孫正義だ。彼らを含めどの経営者も、いまだかつて前田のようなインタラクティブな本の売り方をしたことはない。

文=荒井香織、写真=筒井義昭

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