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Peregrin Lander / Astrobotic

ほぼ無名の英国のスタートアップが、月に着陸する初めてのイギリス企業となる計画を発表した。ロンドン本拠の「スペースビット(Spacebit)」が、米国のアストロボティックと共同で発表した声明によると、同社はアストロボティックの月面着陸機「ペレグリン(Peregrine)」にペイロード(積載物)を載せる契約をした。積載される16のペイロードのほとんどがNASAの依頼だという。

ペレグリン月着陸船は、アポロ号以来アメリカが初めて宇宙に送り出すもので、ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)のロケット「バルカン・セントール(Vulcan Centaur)」を使って、フロリダ州のケープ・カナベラルから打ち上げられる。

スペースビットのCEOのPavlo Tanasyukは、会見で「我々は初めてイギリスから月面に商業用ペイロードを送り込む。準備はほぼ整っている」と述べた。

スペースビットは無名の企業にもかかわらず、イギリス初の偉業を成し遂げそうだ。2015年の創業当初は宇宙データとブロックチェーンに関連するベンチャー企業だったが、Tanasyukが故郷のウクライナで経営していた企業MoneXyを売却した利益でハードウェア開発に移行した。

同社は現在9人の社員と20人以上のメンバーをドイツ、日本、アメリカ、南米で雇用している。「宇宙に乗り出したいならイギリスで挑戦するべきだ。アメリカでは市民権を持っていなければほとんど何もできないが、イギリスではもっとチャンスがある」と語るTanasyukは、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで学んだ経験を持つ。

彼の目標は利益を上げることだけでなく、イギリスに興味を持ってもらうことだという。イスラエルでは2019年4月に月面着陸に挑んだ無人探査機「べレシート」が最終的には失敗に終わったものの、国民を熱狂させた。「英国でそのようなことが起きたことがないのは残念だ。それを変えたい」

アストロボティックはNASAが月への輸送を依頼する数少ない企業の一つだ。今回のミッションで月へ14のペイロードを輸送するためにNASAから7950万ドル(約86億円)の資金を得た。だが、スペースビットもNASAもペイロードの詳細を公表していない。

現在分かっているのは、スペースビットのペイロードがアストロボティックのペレグリンに積載されるということだけだ。そして計画通りに行けば、スペースビットは2021年にペイロードを月面に送り込んだ初めてのイギリス企業になるだろう。

編集=上田裕資

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