だが、先ごろ英スコットランドのダンディー大学が発表した新たな研究によると、空腹時に下した決断が長期的に良くない結果をもたらし得るのは、食べ物の問題に限らない可能性がある。慢性的に空腹でいる人たちは、自ら深刻な結果を招くことになるかもしれない。
「心理科学紀要・レビュー(Psychonomic Bulletin & Review)」に掲載された論文の著者、ベンジャミン・ビンセント博士によれば、この研究結果は意思決定に影響を及ぼす要因の解明を目指す心理学、行動経済学の分野での取り組みにも役立つ可能性がある。
研究チームは、私たちが将来に受け取ることができる大きな報酬よりも、今すぐ手に入る小さな報酬を選ぶ傾向があることを示す「時間割引」に注目した。例えば、多くの人は後で2ドルを受け取るよりも、今1ドルもらうことを選ぶ。
これに関連するものとしては、マシュマロを使った有名な実験がある。「マシュマロを今1個食べたいか、15分後に2個食べたいか」を決めてもらい、子供の衝動性を調べたものだ。
ダンディー大学の研究チームはこれらと同様の「今すぐ、または後で」の選択に、空腹状態にあることがどのように影響を及ぼすかについて調査した。さらに、それは食べ物だけに限らず、お金や音楽といったその他のものに関する意思決定にも関連しているのではないかと考えた。
チームは空腹の(10時間断食した)グループと満腹のグループの双方に、食べ物とお金、音楽のダウンロードについて、「今すぐ受け取る」か「後で量を増やして受け取る」のどちらかを選んでもらった。
その結果、食べ物の場合、後で2倍の量がもらえるなら待てるという日数は、満腹の参加者が35日だったのに対し、空腹の参加者はわずか3日間だった。お金と音楽のダウンロードについては、満腹と空腹のグループが選んだのはそれぞれ、90日と40日、40日と12日だった。