「書き心地」こそ、万年筆の本質|紳士淑女の嗜み


森岡:シンプルで直線的なフォルムが印象的ですね。内部構造はオールステンレスで、クリップまでステンレスの無垢でつくられているそうです。

小暮:天冠とクリップがほぼフラットに接合され、接合部の仕上げも美しい。ドイツの工業製品らしい造形美、ラミーの機能美の根本にある「バウハウス」の伝統を感じます。

森岡:ビジネスマンの場合、人前で何かを書く場面が必ずあります。そんなとき、簡便な筆記具を使うか、こうした万年筆などの筆記具を使うか、印象に大きな差が出てくるものです。

小暮:確かにそれは大事ですね。ある意味、万年筆などの筆記具も重要なビジネスツールのひとつですから。

森岡:モノひとつにも配慮しているか、そうでないか。そういう人となりが筆記具ひとつでわかってしまうものなのです。

小暮:手書きの文字は書く人の個性が出るものですが、筆記具の選び方にも個性が出るものなのですね。

森岡:万年筆はスーツや靴以上に長く愛用するもの。ビジネスマンならば自分はコレという一本をもっていてもいいのでは。

小暮:「scala」は機能美とデザイン性に優れていますから、モダンなスタイルを志向するビジネススタイルにもピッタリです。

森岡:確かにそうですね。バッグを背負うようなビジネススタイルには絶好かもしれませんね。私はラミーのデザインには洒落っ気や遊び心も感じるのです。しかも日常で使うツール的な要素もあると思います。使い勝手がいいし、製品のクオリティも最高で、ロングセラーを続けている。まさに“名品”であり“良品”です。

小暮:森岡さんが何十年もラミーを使っているということはまさにその証しですね。


森岡 弘◎『メンズクラブ』にてファッションエディターの修業を積んだ後、1996年に独立。株式会社グローブを設立し、広告、雑誌、タレント、文化人、政治家、実業家などのスタイリングを行う。ファッションを中心に活躍の場を広げ、現在に至る。

小暮昌弘◎1957年生まれ。埼玉県出身。法政大学卒業。82年、株式会社婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社。83年から『メンズクラブ』編集部へ。2006年から07年まで『メンズクラブ』編集長。09年よりフリーランスの編集者に。

photograph by Masahiro Okamura | text by Masahiro Kogure fashion direction by Hiroshi Morioka | i l lustration by Bernd Schi f ferdecker edit by Akio Takashiro

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