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2019.09.15 00:00

「書き心地」こそ、万年筆の本質|紳士淑女の嗜み

Forbes JAPAN本誌で連載中の『紳士淑女の嗜み』。ファッションディレクターの森岡弘とベテラン編集者の小暮昌弘が「紳士淑女が持つべきアイテム」を語る。今回は9月号(7月25日発売)より、「ラミー」の万年筆をピックアップ。


小暮昌弘(以下、小暮):生活すべてがデジタル化の傾向にあり、何かを書くにしても手書きというよりもキーボードや画面上でという場面が多い現代の生活ですが、森岡さん、万年筆をお使いですか?

森岡 弘(以下、森岡):昔から使っていますし、いまも常にバッグに入っていますよ。

小暮:森岡さんは一緒に編集部にいたころから、その日の予定やTo Do LISTを原稿用紙に手書きで書かれていましたね。

森岡:そうですね。小暮さんはどうですか。

小暮:私も先輩から何かを表現するときには手書きが断然いいと教えられました。だから表紙のタイトル文字は必ず原稿用紙に万年筆で書くようにしていました。キーボードで書いているとすぐに“挿入”してしまい、文章が妙に長くなったり、言い訳っぽくなってしまい、言葉に勢いが出ないのです。

森岡:では2人とも、万年筆はずっと使い続けていたわけですね。今日、取り上げるのはドイツの万年筆の老舗、ラミーです。私は「safari」というモデルを編集者時代からずっと使っています。たぶん5本は使っています。

小暮:大きなクリップが付いているモデルでしょう。実は私ももっていました。まだ机のどこかにあると思います。

森岡:私は、クリアボディの「safari」が、いまもペンケースにありますよ。時々限定カラーが出るので、それを目指して買う人もいると聞きます。軽くて使いやすくて、何より書き味がいいですね、ラミーは。

小暮:ラミーの万年筆は外部の有名デザイナーとコラボするので、そのデザインやクリエイティブさに目を奪われがちですが、万年筆の本質である書き味にこだわっている。それにもっと注目してほしいですね。私もデザインに惹かれて店頭で試したのですが、書きやすくてすぐに気に入り、即決しました。創業は1930年。ドイツで誕生しました。歴史も確かですね。

森岡:インクの配合から金型づくりまで、ほぼすべての工程を自社工場で一貫して行っていると聞きました。

小暮:だから書き心地も素晴らしいものに仕上がっているのですね。

森岡:今回紹介するのは「scala」というモデルです。2012年からつくられていて、ドイツのデザイン事務所のシーガー・デザインが手がけました。

小暮:名前はイタリアのスカラ座に由来しているそうですが、使い手をオペラのように魅了し、感動させるという狙いがあるそうですね。
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photograph by Masahiro Okamura | text by Masahiro Kogure fashion direction by Hiroshi Morioka | i l lustration by Bernd Schi f ferdecker edit by Akio Takashiro

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