シカゴを2033年までに世界的なテクノロジーの中心地へと押し上げることを目指す非営利団体「P33」は、ビジネスデータや経済発展データを、シカゴの成長と結びつけながら継続的な分析を行っている。P33のブラッド・ヘンダーソン(Brad Henderson)最高経営責任者(CEO)が、シカゴでの事業規模を拡大したベイエリア系テック企業をいくつか挙げたところによると、先述した企業以外にも、アップル、ヒューレット・パッカード、IBM、リンクトイン、オラクルもシカゴにオフィスを置いており、各社ではおよそ1000人かそれ以上の従業員が働いている。一方、フェイスブックや、レストラン検索サービスのYelp(イェルプ)なども、引き続き規模を拡大中だ。
こうした大企業の動きは、P33にとって喜ばしいニュースだ。P33は、ベテランの大手企業と、シカゴを拠点とする各種新進スタートアップとの連携を強化し、「シカゴ・コネクション」を構築しようと努めている。
しかし、沿岸部とシカゴにオフィスを開設してメリットを得ているのは、ベテランの大手テック企業だけではない。比較的新しい企業もこの傾向に目を向け、同じ動きを見せている。著名人からの個人的なビデオメッセージが購入できるマーケットプレイス「カメオ(Cameo)」や、中小企業に対してeコマースのフルフィルメント・サービスを提供する「シップボブ(ShipBob)」*というテック系スタートアップ両社は、シカゴの本社に加え、カリフォルニア州にも拠点を開設した。
こうした傾向は、2018年から続くものだ。シカゴを拠点とするヘルスケア系スタートアップ「リボンゴ(Livongo)」、ソフトウェアサービス「G2」、脆弱性管理を行う「ケンナセキュリティ(Kenna Security)」*など、多種多様な業種にわたるこれらの企業はすべて、カリフォルニア州におけるテックビジネスの拡大を後押している。そして、同地でテック系人材を確保しながら、引き続き中西部に根を張っているのだ。
起業拠点としてのシカゴの牽引力と、手ごろな生活費、全米屈指の豊富なテック系人材は、全米レベルでますます知られるようになっている。こうした点に注目し、同市にオフィスを構えるアメリカの主要テクノロジー企業や組織が増えつつあることは驚くことではない。こうしたトレンドが、今後もシカゴに根づいていくことが期待されている。シカゴを世界のリーダー的な都市にするというP33が描くビジョンを確実に現実のものとするべく、シカゴのステークホルダーたちは協力し合っている。
*著者がマネージング・ディレクターを務めるHPA[Hyde Park Angels]が投資している企業。