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2019.08.31

学校で「パーソナルファイナンス」を教えるべき5つの理由

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パーソナルファイナンス(個人資産管理)に関する基本的なスキルを持つことは、健康で幸福、かつ安心な生活を送るために私たちができる最も重要なことの一つだ。

予算を立てることや貯蓄をすること、借金や投資に関する基礎的な理解の程度は、人生のあらゆる面に影響を及ぼす。そして、豊かになるか困窮するかの違いを生み出すものにもなり得る。

人生におけるこのスキルの重要性を考えれば、米国の17の州しか高校生にパーソナルファイナンスを教えていないというのは、恐ろしいことだ。高校では幾何学や美術、ラテン語、家政学などを教えている。これらは確かに、知っておく価値があることだ。だが、日常的に台形の面積を求める必要に迫られる可能性は、どの程度あるだろうか?

一方、パーソナルファイナンスに関するスキルは生活に必要なものであり、学校で教えるべきものだ。そう考える理由は、主に5つある。

1. お金は全てのことに関わる

パーソナルファイナンスのスキルは、高校を卒業してから退職するまでの人生に起きる全ての事柄に影響を及ぼす。キャリアに関する決断、住宅の購入、結婚、子供の誕生などの全てに大きな役割を果たすものだ。

さらに、お金の問題は日常生活の一部でもある。どこで食事をするか、何を買うか、どこに旅行に行くか、どのように価格交渉をするかといったことも含め、私たちは日々、お金に関わる決断を下している。

2. 米国人の大半が賛成

個人向け金融サービスのクレジット・カルマとソフトウェアのクアトリクスが行った調査によれば、回答した米国の成人の63%が、お金の問題について学校で教えることに賛成だ。教育を始めるべき時期については、小学校と中学校、高校とした人それぞれ3割程度。大学で学ぶべきと答えた人は5%だった。

また、回答者の77%は学校の授業で金融について教えるための法整備に賛成している。67%は法制化に積極的な候補に投票したいと回答した。
その他、多くの人は金融に関する教育を受けるために、以下に充てる時間を「進んで投げ出す」と答えている。

・ハッピーアワー(35%)、・出会い系アプリ(29%)、・朝のコーヒー(24%)、・休暇(12%)、・性生活(8%)

3. 知識不足は痛みをもたらす

当然のことながら、お金の問題は全ての大人が抱える主なストレス要因の一つだ。日常的に感じるストレスの原因になるだけではない。離婚、健康状態の悪化やうつ病、破産につながる可能性もある。

以下に紹介するデータからも、成人の多くがお金の問題を抱えていることが分かる。だが、これらの多くは、パーソナルファイナンスに関する基本的な知識があれば、回避可能なものだ。

・米国人の半数近くが、緊急事態が起きた場合に最低必要とされる400ドル(約4万2600円)の現金を持っていない──解雇されたり、救急疾患で病院に行くことが必要になったりした場合に全くお金がないというのは、悲惨な状況だ。緊急時用の備えが重要であることを理解していれば、そうした状態は防ぐことができる。

・米国のミレニアル世代の学生ローンの残高は、合計およそ1兆5200億ドル──返済のために働き続けるということは、貯蓄に充てられる金額が少なくなるということだ。負債を抱えること、学費を賄うその他の方法、返せる範囲で借りることの重要性などを学んでいれば、これほど膨大な金額になることを防げたかもしれない。
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編集=木内涼子

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