サンフランシスコにGoogle for Entrepreneursからの支援を受けているBlackboxというアクセラレーターがある。筆者も参加し、世界中から採択された12社のスタートアップファウンダーたちと学びながら交流したことがあるが、そこでもカナダという国の勢いを感じた。
12社中、カナダからは、教育系の2社のスタートアップが採択されていた。1社のファウンダーはスタンフォード大学の客員教授もしており、もう1社は共同ファウンダーで、2人ともシリアルアントレプレナーだった。3名とも女性だった。そしてカナダ人としてはもう1人、バイオ系のスタートアップを立ち上げるためスイスに移住していた若者もいた。
このBlackboxアクセラレーターで会った女性たちに聞いたところ、「カナダ政府は、プラットフォーム開発と実験の素晴らしいパートナーです。2018年には、私たちのSquiggle Parkプログラムを購入して、1100人の移民の子供たちに適用。利用した子供たちは、1週間で30分、英語を楽しく学び続け、学校でも英語のハンディが少なくなったようです」と言う。
実は、このファウンダーの1人は、シドニーオリンピックにも出たカヌーのアスリートで、その後、カナダで数社を起業。バイアウト経験もある女性で、子育てもして、幸せに暮らしている。
スタートアップエコシステムに注目
カナダは人口が少ないため、同国のスタートアップは、国内はB2Bが多く、B2Cとなるとアメリカ進出をめざす人たちが多い。
そのカナダで、いま勢いのある企業といえば、Eコマースプラットフォームの「Shopify」だろう。8月半ばには、時価総額がツイッターを上回ったことでも話題となった。創業者のTobias Lutkeは、カナダのDigital Indistries Economic Strategies Tableのチェアも務め、自国の後進の育成やエコシステム拡大サポートも行っている。
カナダのスタートアップに投資実績があり、世界中でディープテック分野に投資をしているAbies Venturesマネージングパートナーの山口冬樹氏も、最近、カナダのスタートアップエコシステムに注目している。
トロント他数拠点を有するアクセラレータCreative Destruction Labで開催されたスタートアップのデモデイにも参加していたので感想を聞くと、「数百人もの投資会社や事業会社が参加していた。スタートアップと投資家がつながりやすいよう、スラックで質問やフィードバック、支援の申し出などを自由に送れるようになっていた。オープンでフォローアップがしやすかった」という。
また、「カナダと言えば、AI系スタートアップが注目されているが、Sensporupという資源豊富なカナダらしい鉱山向けIoTのスタートアップなどもあるから面白い」と教えてくれた。