ビジネス

2019.09.02 13:00

押し入れからカンボジアへ コオロギと世界の食糧問題に挑む26歳の展望 #30UNDER30


「私たちのポリシーは、既存農家に生産ノウハウを渡して、一緒にビジネスをすること。カンボジアにおけるコオロギ専門の農協のような立場を目指しています。現地のNGOやエコロギーのような昆虫食の企業が啓蒙活動を行ったことで、もともと少数であったコオロギ農家がここ数年で増加傾向にあります」

コオロギ農家が増えていく中で、最近ではかなり利益も生み出しているうというコオロギ農家、いわゆる「スターコオロギ農家」も現れるようになったという。

1つの農村にスターコオロギ農家が生まれると、その勢いに続けと一気にコオロギ農家が増える。未来のスターコオロギ農家を育てること、そして安定したコオロギ生産ネットワークを構築することがエコロギーのカンボジアでのミッションだ。

2050年には世界的な人口増加によって、人々の食糧、特にタンパク源が不足するといわれている。そんな背景もあり、アメリカのスタートアップをはじめ、日本でも昆虫食に取り組む企業は増えつつあり、昆虫食に対する世間の注目度は明らかに高まりつつある。

しかし、葦苅は冷静だ。

「世界的に、昆虫食への期待も需要も拡大していることは確かです。しかし、まず私たちが目指すべきは、カンボジアでのネットワークをより強固にしていくこと。昨年、現地に拠点を移したばかりの私たちには、目の前にやるべきことが多くあります。もちろん、将来的には食料危機に挑む日本を代表する企業になることを念頭において活動を続けていくつもりです」

これからの展望を語る葦刈の目はしっかりと未来に向かって輝いていた。

<受賞者たちへの共通質問>
今後3年で成し遂げたいことは?



あしかり・せいや◎1993年生まれ。早稲田大学商学部卒業。同大学大学院先進理工学研究科在学中に「ECOLOGGIE」を創業。現在はカンボジア在住。

葦苅をはじめとした、個性あふれる「30 UNDER 30 JAPAN 2019」の受賞者の一覧はこちらから。若き才能の活躍を見逃すな。

文=大木一真

タグ:

連載

30 UNDER 30 2019

ForbesBrandVoice

人気記事