その延長が彫刻「地獄の亡者」シリーズだった。以来、難民やLGBTQなど、気がつけば居場所を追われた人々に寄り添う作品をつくり続けている。
タイの寺院に展示した磯村の作品「LOVE NOW」
「アートは自分が絶好調のときでも、絶不調のときでも唯一できること。なので、それができるようになったいまがとても幸せだと感じている。僕は、人間はただそこにいるだけで肯定される価値があると思っているので、そうではない環境に置かれている人たちのために、何かアクションを起こせたら。人はそこにいるだけで価値があると作品を通して伝えたい」
美術家は投資家や権力者、そして同時に絶望の淵に追いやられている人たちともつながることができ、フラットなコミュニケーションをとることもできる。やれることは多い。
「世の中では美術を享受できている人はまだ限られている。僕が絵を描くことに救われたように、今後は美術に触れる場づくりもしていきたい」
<受賞者たちへの共通質問>
今後3年で成し遂げたいことは?
いそむら・だん◎1992年東京生まれ。東京藝術大学卒。Asian Cultural Councilのフェローに選ばれ、2019年9月からニューヨークを拠点に活動予定。
磯村をはじめとした、個性あふれる「30 UNDER 30 JAPAN 2019」の受賞者の一覧はこちら。若き才能の躍動を見逃すな。