人類の平均寿命は現在、72歳程度だが、世界の富豪らは長寿化を実現するライフサイエンス企業に膨大な投資を行っている。オーストラリアで最も高額な家を所有するキャノン・ブルックスは、Juvenescenceが8月19日に発表した1億ドルのシリーズB資金調達に参加した。彼は自身の投資会社Grok Venturesを通じて出資を行った。
証券会社ICAPの元CEOで英国の富豪として知られるマイケル・スペンサーも、自身の投資会社IPGLを通じ、1000万ドルを出資した。Juvenescenceの累計調達額は1億6500万ドル(約176億円)に達した。
同社は単一のプロジェクトに取り組むのではなく、「長寿のエコシステム」を築くことをゴールとしている。人々の健康を高め、長生きを可能にする技術を持つ企業らをつなぐポートフォリオを形成するのが、同社の目標だ。
「当社は老化生物学エリアに進化をもたらす起業家らと、最先端の研究機関をつなぐジョイントベンチャーを設立し、IPを生み出していく」と公式サイトで述べている。
Juvenescenceは医薬品開発者や、AIの専門家、金融のスペシャリストで構成される20人の社員を雇用し、ガンや糖尿病、神経変性疾患、心臓病を治療する技術のポートフォリオを構成しようとしている。同社はこれまでに15社に投資を行っており、老化したヒト細胞のケア技術を開発するAgeX TherapeuticsやFox Bioを支援している。
不老不死を目指すスタートアップに出資するビリオネアは数多い。オラクル創業者のラリー・エリソンも数百万ドルを医療ファンドに投資した。ジェフ・ベゾスもUnity Biotechnologyを支援している。アルファベット傘下の「Calico」では約150人のスタッフが、生物の寿命メカニズムの解明を目指す研究を行っている。
Juvenescence会長のJim Mellonは声明で「我々は世界中の投資家の協力を得て、健康的な長寿を可能にするテクノロジーを開発する」と述べた。
「Juvenescenceは今や、この分野で最大レベルの資金調達を実施した企業となり、当社がアレンジした科学者や起業家、研究機関らのパートナーシップの重要性が裏づけられた。長寿に関わる科学テクノロジーは今後さらなる注目を集め、投資家の期待も高まるだろう。将来的な上場を視野に入れつつ、技術開発を行っていく」
英フィナンシャル・タイムズによると、Juvenescenceの直近の評価額は5億ドルに達したという。同社は来年にもニューヨーク市場でのIPOを計画中と報じられた。