キャリア・教育

2019.07.30 08:00

内定が欲しければ「なぜ」を4回繰り返せ。ファストリ採用責任者が語る「就活」とは


新時代が求めるのは「個」、世界で戦うには

日本と海外の教育制度の違いによる影響も大きいと思います。日本は専門性を求めない文化なのか、尖った人材を輩出しにくい。知識も広く浅く学び、色んなことを経験する。つまり、一つのことに長けた「スペシャリスト」より「ジェネラリスト」を生み出しやすいのが日本の教育だと思います。

最近では企業の考えも変わってきていますが、まだまだ日本では終身雇用、年功序列が強く残っています。今までの日本はこれらの制度によって経済発展してきた国なので素晴らしい制度だと思いますが、これからの時代を先読みした変革が必要ではないでしょうか。他国の真似や現状に合わせるのでは時代遅れになってしまいます。

日本においては、一度就職したら定年まで同じ会社に勤めることが成功とされ、部署の異動や研修についても、どこの部署でも平均的に仕事ができること=ジェネラリストが求められます。しかし今は、より「個」が注目され、例えばユーチューバーのように、国、性別、人種、職業などに関係なく世界を動かすムーブメントを起こすことができる時代です。

こうした環境では、「何でも幅広く対応できます」という平均的な人物より、「〜だけは誰にも負けません」「〜については圧倒的に他社と違う価値提供をできます」といった様に、何か突き抜けている方が求められるのではないかと思います。新卒の場合、入社直後は難しいと思いますが、将来的にそう状態になれればいい。私も、新卒採用の領域においてはグローバルレベルで負ける人はいないと勝手に思っています(笑)。

あくまで私が働いた経験のある、プロサッカークラブの立ち上げ、ゴールドマン・サックス、イギリスのバークレイズ、マイクロソフトにおいての話になりますが、「この分野だけは誰にも負けない」「この仕事が好き過ぎてワクワクする」と仕事を楽しむ人、突き抜けた才能のある人が集まっている企業の方が強いと感じています。伝統や文化を残しつつ時代に合った会社に変える、これこそが今必要な変革ですよね。

学校教育についても変革が求められています。大事なのは、教育制度というルールの変革だけでなく、全ての基礎となる土台作りです。物事を本質的に捉らえ考え抜く力、言語化して伝える力、正解を求めるのではなく、その場の最適解を導き出すことができる力を身につけられるよう、小さい頃から、個人の能力に合わせてカスタマイズされた教育をしていくことが必要です。
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構成=裵麗善(ぺ・リョソン) 写真=帆足宗洋

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