フォルクスワーゲンのE-Golf(Photo by Jens Schlueter/Getty Images)

欧州連合(EU)では電気自動車(EV)の成長がここ数年の間控えめだった。しかし、調査会社IHSマークイットのデータによると、EUの自動車製造業者が2021年に提供するEVのモデルは現在の60から増加し、214になる見通しだ。

ブリュッセルを拠点とする環境非政府組織(NGO)、トランスポート・アンド・エンバイロメント(T&E)が先日発表した報告書によると、自動車メーカーが温室効果ガス排出量の平均を下げるよう定めたEUの要件を満たすために近年集中的な取り組みを行なった結果、自動車のモデル数はわずか3年で3倍になると結論づけた。

T&Eで輸送・Eモビリティーアナリストを務めるルシアン・マシューは「EUにおける自動車の二酸化炭素排出量基準により、欧州では間もなく、長距離を走れるより手頃なEVの波が新たに市場に投入される」と述べた。

マシューは「これは良いことだが、まだ仕事は終わりではない」と補足。「家庭や職場にEV充電所を設置するため、政府からの支援が必要だ。また、環境を汚染するディーゼル車やガソリン車、粗悪なプラグインハイブリッド車よりも電気自動車をさらに魅力的にするため、自動車税の変更も必要だ」と述べた。

2021年には、プラグインハイブリッド車のモデル118台に加え、完全なEVモデルが92台市場に投入される予定だ。T&Eの報告書によると、EUで製造される自動車は2025年までに22%がプラグインになる。それが実現すれば、EUの自動車企業は2025年までに十分、二酸化炭素排出量の制限を守ることができるようになるはずだ。

欧州におけるEVの最大の生産地は、ドイツやフランス、スペイン、イタリアなど西欧諸国になるだろう。東欧諸国で1人当たりのEV生産台数が最も多い国は、2025年までにスロバキアになると見込まれ、その後にはチェコ共和国やハンガリーが続くとされている。また同報告書によると、英国ではEUからの「合意なき離脱」を巡る不透明性により、EV生産分野での重要な投資が抑制されている。

自動車業界では、利用できる充電所の数や電池の信頼性に対する不安から、EVの広範な普及が実現困難だと言う人もいる。ここでより良い投資分野になるとされているのは、既存の自動車の構造を利用できる代替燃料だ。

しかし今回のT&Eの報告書からは、他の代替燃料の生産計画がほとんど存在していないことが分かっている。2025年までに生産が見込まれているEVは400万台に上るのに比べ、燃料電池自動車の2025年までの生産台数は合計でわずか9000台ほどだ。圧縮天然ガス(CNG)自動車にいたっては数が減ることになっており、欧州で生産される自動車の中でのシェアは2020年代中盤までに1%未満になると考えられている。

また報告書からは、電池技術が急速に進化していることが示されている。欧州で現在稼働している、あるいは稼働を始めることになっている大規模なリチウムイオン電池工場の数は少なくとも16だ。それが実現した場合、電池の生産能力は2023年までに131ギガワット時となる。これは、その時までに欧州全土のEVや定置型蓄電池が必要とすると予測される130ギガワット時を十分補うことができるものだ。

翻訳・編集=出田静

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