バッテリーの持続時間が短い理由の一つは、スマホ本体のテクノロジーの向上にある。かつてのNokiaの端末のようなシンプルなフィーチャーフォンの場合は、現在のスマホより大幅に長い電池の持ちが実現できていた。
しかし、フィーチャーフォンは現代のスマホのように、複数のアプリを稼働させないため、消費電力もごくわずかなものだった。現代のスマホに用いられている電池も、90年代の携帯電話に用いられていたのと同じ、リチウム電池だが、スマホの筐体は小型化が進んだため、バッテリーを格納するスペースも以前より小さくなっている。
スマホメーカーらは他の部品の小型化を進め、バッテリー容量を拡大しようとしているが、決定的な解決策は生み出せていない。
また、リチウム電池は充電を重ねるごとに、性能が劣化する課題を抱えている。アップルも公式サイトにおいて「充電式バッテリーはすべて消耗品で、化学的経年劣化が進むにつれて性能が低下します」と述べている。
研究者らが次世代の電池技術として期待を注ぐのが、シリコンアノードバッテリーと呼ばれるものだ。このバッテリーは微細なシリコン粒子で構成され、既存のリチウム電池よりも高い容量と出力を実現できる。
米国の国立再生可能エネルギー研究所 (The National Renewable Energy Laboratory NREL)は、合衆国エネルギー省の資金援助を受けて外部のラボと協力し、シリコンアノードバッテリーの技術開発を進めている。
しかし、バッテリー技術の向上が進む一方で、スマホメーカーの技術者らは、より高性能な端末の開発を進めており、バッテリーのテクノロジーがそこに追いつけないのが現状だ。スマホが高機能になればなるほど、より多くの電力が必要になる。