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2019.07.25 19:00

届けるべきは製品そのものでなく「体験」 ミラノサローネ代表に聞く

ミラノサローネ・プレジデント クラウディオ・ルーティ

ミラノサローネ・プレジデント クラウディオ・ルーティ

高品質・高性能の製品をつくっていれば評価される時代が終わり、その次に求められるものとはなにか?

毎年4月にイタリア・ミラノで開催される世界最大規模のデザインの祭典、「ミラノサローネ」のプレジデント、クラウディオ・ルーティに話を聞いた。



モーターショーや時計の新作発表イベント、あるいはファッションブランドのコレクションなど、ラグジュアリー商材を対象にした国際的な展示会は、かなり集客力を落としていると聞く。世界中から取材陣や愛好家を集め、大きな会場で新製品のプレゼンテーションを行うというフォーマットは、もはや終わりを告げているのかもしれない。新製品の情報は、すぐにメーカーがSNSやWEBで発信できるし、現場の空気感であればライブストリーミングでも楽しめる時代になっているのだろう。

しかしそんな状況であるにもかかわらず、ミラノデザインウィークは年を追うごとに盛り上がりを見せている。見本市会場フィエラミラノで開催される「サローネ・デル・モービレ・ミラノ(通称、ミラノサローネ)」は、今年、開催6日間で38万6236人が来場した。これは照明の見本市である「エウロルーチェ」と同時開催した2017年と比較すると12%増となっている。しかも参加企業の34%はイタリア国外の企業で、来場者の国籍はなんと181カ国にもなる。世界のどこにいても、あらゆるイベントをバーチャルで楽しめる時代であるにもかかわらず、規模が拡大し、国際化も進行しているという、稀有なイベントなのだ。

「ミラノサローネの来場者は、様々な製品を見るだけでなく、クリエイティビティと企業の関係を目の当たりにするでしょう。我々は製品だけでなく、革新のプロセスやデザインの価値を高める“物語”を語り、アイデアを楽しむ“体験”を提供するのです」

ミラノサローネのプレジデントであるクラウディオ・ルーティは語る。

確かにミラノサローネは、“体験”を強く意識している。今年はミラノで暮らしたレオナルド・ダ・ヴィンチの没後500年という節目を記念し、ミラノ市内とフィエラ会場の2カ所で、大規模なインスタレーションを開催。さらにブランドの枠を超えたグループ展示「S.Project 2019」もスタートさせた。前者はデザイン文化への敬意を表した展示を提案し、後者はブランドごとにブースを構えて展示するというこれまでの前提を崩した。しかし変革を続けなければ、変化する時代の中で生まれた、“体験”という新たなニーズに対応することはできない。


レオナルド・ダ・ヴィンチによって開花したイタリアのデザイン文化が、どのように 現代へと受け継がれてきたかを示す展示「DE-SIGNO」。


デザインホールディングは、「B&B Italia」「ルイスポールセン」「フロス」で共同展示を行った。(photograph by Mitsuya T-Max Sada)
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edit & text by Tetsuo Shinoda

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