アップルは無料の「Apple Podcasts」アプリ経由で、ポッドキャスト番組を配信しているが、スポティファイがこのジャンルへの注力を開始して以降、シェアは低下傾向にある。
スポティファイはポッドキャスト市場において2番目の勢力に浮上した。同社はポッドキャスト番組を充実させることで、アップルミュージックの顧客を奪おうとしている。アップルはこれに対抗し、数億ドルの予算をオリジナルコンテンツの獲得に注ごうとしているという。
一方で、大手ベンチャーキャピタルの支援を受けたLuminaryやHimalayaなどのスタートアップも、この市場を狙っている。この分野ではStitcher Radioのような新たな勢力も台頭中だ。
スポティファイがポッドキャストに注力を開始したことで、ネットフリックスやHuluがオリジナルコンテンツを強化した流れが、ポッドキャスト市場にも訪れようとしている。アップルは動画ストリーミング分野でやや出遅れた感があるが、ポッドキャスト市場でその遅れを取り戻すのかもしれない。
今後、注目が高まるのは、ポッドキャストの配信業者とプラットフォームがどのような、提携を結ぶのかだ。一部の人気番組の配信者が有力プラットフォームと独占契約を結ぶ可能性もある。コメディアンのマーク・マロンの「WTF」のような人気番組が、アップルやスポティファイと独占契約を締結する可能性もある。
音楽業界でインディーズとメジャーの垣根が取り払われたのと同じ流れが、ポッドキャスト分野に到来する可能性もある。ポッドキャストのホスティングサービスにはLibsynやBlubrry、Podbeanらがあるが、これらの企業は現在、ライセンシング事業を行っていない。
ここで気になるのは、ポッドキャストのコンテンツが動画と音楽のどちらに近い特徴を持つかだ。動画分野ではネットフリックスとHuluは、それぞれ個別のタイトルを配信しており、作品がかぶるケースは少ない。しかし、音楽ストリーミング業界では各プラットフォームがほぼ同じタイトルを配信中だ。ポッドキャスト業界は現状では、音楽ストリーミングに近い状態といえる。
ポッドキャストのエピソード数は、スポティファイやアップルミュージックの楽曲数と同レベルと考えられる。ただし、ベンチャーキャピタルからの出資や独占化が進むことで、ポッドキャストが動画コンテンツと同じ道を歩むことも考えられる。