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2019.07.19 10:00

ラテン音楽界に新レーベル、TV業界の大富豪が500億円出資で

映画プロデューサーのハイム・サバン氏 / Getty Images

映画プロデューサーのハイム・サバン氏 / Getty Images

ビリオネアでドラマ「パワーレンジャー」の制作者として知られる映画プロデューサーのハイム・サバンが、新たに音楽レーベルを立ち上げる。サバンは5億ドル(約538億円)を投じ「サバン・ミュージック・グループ」を設立する。

サバン・ミュージック・グループを率いるのは、ラテン音楽界の元プロデューサーのGustavo Lopezで、南米を中心に世界のアーティストを手がけていく。同社は新人の発掘及び、既存の音楽企業の買収により事業を拡大させる計画だ。同社はロサンゼルスに本拠を置き、グローバル市場を見据えて事業を展開するとLopezは述べている。

サバンは今年5月、Lopezが運営するラテン系エンターテイメント企業Talento Unoを買収していた。

サバン・ミュージック・グループは既にTalento Unoの所属だったアーティストと契約を結んだ。コロンビアのレゲトンアーティストのReykon(レイコン)や、プエリトルコのユーチューバーのDaniel El Traviesoらだ。さらに、イスラエルの人気デュオのStatic and Ben Elや、フランスのシンガーMarie Montiとも契約を結んでいる。同社が唯一、扱わないジャンルはヒップホップだという。

サバンはレーベルの立ち上げにあたり、次のように述べた。「音楽は常に私の人生において、日々のパッションの源だった。音楽やアートを愛するものとして、音楽ビジネスに再び関われることにエキサイトしている。グローバルで通用するアーティストを送り出していきたい」

29億ドルの資産を保有するサバンはその大半をテレビ分野で築いたが、彼のキャリアは音楽業界から始まった。ユダヤ人の両親のもとにエジプトで生まれたサバンは、テルアビブで暮らした10代の頃に音楽業界に関わるようになり、コンサートプロモーターの事業を開始した。その後、テレビ番組向けの音楽制作企業を成功させた後、パワーレンジャーのプロデュースを行った。

パワーレンジャーシリーズは数十億ドル規模のブランドに成長。サバンはこの作品をNews Corpと共同で家族向けコンテンツに仕上げ、Foxのファミリーチャンネルで大ヒットさせた。サバンは2017年に、シリーズの配信権をハズブロに5億2200万ドルで売却した。

また、2007年にサバンはスペインのテレビネットワークUnivision Communicationを外部の投資家らと共に137億ドルで買収していた。彼は現在Univisionの株式の7%を保有しており、その価値は約2億ドルに及ぶ。

ここ最近、音楽ビジネスの価値は高まっている。先月はビリオネアのデイビット・ルーベンスタインらが率いる投資ファンドの「カーライル・グループ」が、音楽プロデューサーのスクーター・ブラウンと組んでビッグ・マシン・レコードを買収すると報じられた。

ビッグ・マシン・レコードはテイラー・スウィフトの楽曲のマスターを保有しており、買収額は3億ドル以上になると報じられている。

編集=上田裕資

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