日本の空港は外国人にフレンドリーな対応ができていない?

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プロモーションの際にもうひとつ気をつけているのは、最終目的地まで「新幹線(SHINKANSEN)」の駅から、およそどのくらいの時間がかかるかを伝えることだ。起点となる新幹線の駅は、東京か京都だ。もちろん、「◯◯空港から◯時間」という情報も必要だが、このような質問をしてくるのは、基本、本気で旅をしようとを考えている人たちであり、アピールするためであれば、まずは、この2都市からどれだけ近いかを伝えることが大切だと考えている。

年々、増え続けている訪日外国人だが、2018年の日本への外国人宿泊者数を都道府県別に紹介すると、第1位は東京都、第2位が大阪府、以下、北海道、京都府、沖縄県と続く。上位の東京都、大阪府には、ビジネス目的での訪問者も含まれていて、東京は2319万3539人、大阪は1512万4140人である。この2都府のみ数千万人台に手が届いているが、観光客が主体となる3位の北海道は833万5030人といきなり下がり、数百万人台になっている。

ちなみに観光客の過多でオーバーツーリズムとしての課題がしばしば論じられる京都は、626万7750人で、沖縄とほぼ近い数字となっている。京都がオーバーツーリズムと言われるのは、その大部分が京都市内に集中し、交通渋滞も含め、市民生活を脅かしているためだ。当然、その影響は、京都観光のイメージダウンにもつながっていく。

京都の課題は、市内の乱開発にブレーキをかけることは勿論だが、交通手段の混雑を分散し、いかに観光客を府内の他の地域にまで足を伸ばしてもらえるようにするかが重要だ。そのためには他地域の魅力とともに、その場所への移動を「楽しい旅」として感じてもらえるようにする必要があるだろう。

外国人宿泊者数の数字では、東京や大阪と大きく差がある京都だが、海外での、いわゆる旅の目的地としての京都の知名度やブランド力は、大阪よりもずっと高いと私は感じる。それはトリップアドバイザーの「外国人に人気の観光スポット」ランキングでの第1位が5年連続で京都の「伏見稲荷大社」であることにもあられている。トップ30のなかにも「平等院」や「三千院」など、7つもの京都の観光スポットが選ばれている。

だからこそ、便乗商法ではないが、私が海外で岐阜県の紹介をするときは「東京から新幹線を使って約2時間、京都からは40分」と伝えることにしている。そうすると、みなその近さに驚き、岐阜が、東京や京都の「次の目的地」として選ばれることにもつながっていくのだ。

さらに、最近では、前述したように、一見すると不便に思われる地方間の移動について、逆にその楽しさを伝える努力もしている。例えば、地方の列車では、駅弁で地元の食が味わえたり、インスタ映えスポットに近づくとスピードダウンして写真撮影ができたり、途中下車して温泉体験ができたりするといった、ローカルならではの各種体験プログラムを提供するなど、移動中の「観光」にも、地方では力を入れることが必要だ。
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文=古田菜穂子

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