しかし、貯蓄や投資、退職後の資金、管理や保険など家族の長期的な資金計画を管理するのはいまだに男性であることが多い。純資産が多い既婚女性、夫を亡くした女性、離婚した女性を対象としたスイス金融大手UBSの調査では、毎日の出費を管理していると答えた女性は85%に上ったが、長期的な資金計画を進んで引き受けていると答えた女性はわずか23%だった。
こうした長期的な要素は、私たちが確実に退職後に備え、災害から自分たちを守り、資金をきちんと最適化するのに欠かせないものだ。配偶者と金銭面を管理(あるいは共同管理)していない人は、金銭的な自立を実現するための貴重な経験と知識を得ることができない。このプロセスに女性が関与していない理由には、配偶者の方が自分より金融面について理解しているという思い込みから、女性の金銭管理を配偶者が思いとどまらせるケースまでさまざまだ。
女性は金の管理において男性より経験が少ないだけではない。女性は次の3つの女性特有の理由により、金融に関する知識をつけ経済的に自立する必要性が男性より高くなっている。
1. 女性の方が寿命が長い
米疾病対策センター(CDC)の最新データによると、平均的な米国人男性は76歳まで生きるが、平均的な米国人女性は81歳まで生きている。
寿命が男性よりも長いことは全体的に良いこととして考えるべきだが、男性よりも食費、住宅費、そして特に医療費が5年分余計にかかることになる。歳を取れば取るほど、私たちが直面する健康問題は増える。
医療コスト予測ソフトウエアを提供するヘルスビュー・サービシズ(HealthView Services)の報告書によると、米国の健康的な55歳の女性が退職後に支払う医療費は、同じ年齢の男性よりも7万9000ドル(約860万円)高くなる可能性がある。これは、女性が費やす年間の医療費が多いからではなく、単に長く生きることによるものだ。女性はそれだけ、退職と保険の計画に注意しなければならない。
2. 女性の方がキャリア半ばで仕事を辞めることが多い
米国における女性の労働参画は中堅段階で下がり、入門レベルの仕事では46%あったのが、副社長レベルになる頃にはわずか29%となる。これには多くの理由が考えられるが、女性はこの時期に結婚したり、子どもを持ったり、年老いた両親の介護に直面したりすることが多い。男性もこの時期に同じ人生のステージに達するが、仕事を辞めて子どもや親の世話をするのは女性であることが多い。