2014年に発表されたWHOの報告書の2010年のデータでは、フランスの全体的な飲酒量が191カ国中18位とされた。フランスより上位には、東欧諸国のほとんどとスカンディナビア各国が並んでいる。それとは対照的に、米国の全体的な飲酒量は48位で、欧州の大部分やアフリカの多くの国、さらにはカナダとチリよりも低い結果となった。
また、34カ国における1人当たりの年間飲酒量を調べた経済協力開発機構(OECD)の2013年健康データでは、米国は9リットル足らずで23位となり、カナダやチリと比べそれぞれ1リットル弱高い結果となった。フランスは12リットル弱で3位となり、オーストリアとエストニアが僅差で1位と2位だった。
WHOによると、世界でアルコールを原因として亡くなった人の数は2016年、300万人以上だった。WHOは「世界の病気の5%以上が、アルコールの有害な使用により引き起こされている」と述べている。
WHO加盟国は2010年の第63回WHO総会で、飲酒量を減らす世界戦略を含む決議の採択に合意した。同戦略は、国レベルの政策選択肢と介入策の10の重要分野、および世界的な取り組みが必要とされる4つの優先分野に取り組むものだ。
WHOが推進してきたことの一つに、車の運転時の血中アルコール濃度の制限を、世界中で標準となった0.08%の半分の0.04%にすることがある。このアイデアは欧州・米国を始め、その他の場所でも定着している。現時点の制限値は0.05%までしか下がっていないが、これから確実に下がっていくだろう。
世界レベルでの飲酒量を減らすWHOの取り組みはアルコール類全体に関わるものだが、私はここでワインに注目したい。
ワインの価格が上昇していることがWHOの戦略と少なくとも一部関わっていると考えるのは誇張ではない。この証拠として、WHOの戦略に結びつけられた目標の中には、消費者へのアルコール販売価格を上げるよう各国に圧力をかけることがある。
また、米国で1日に推奨されるワインの量が世界合意に影響されてきたと考えることもこじつけではない。米国の1日のワイン推奨量はかつて、約120mlのグラス2杯(女性)あるいは3杯(男性)だった。しかし、それがこれまでそれぞれ1杯と2杯まで下げられている。