現在69歳のコミッソは米国のサッカーチームのニューヨーク・コスモスを2017年に買収していた。ニューヨーク・コスモスの価値をフォーブスは48億ドルと試算している。
今回のフィオレンティーナの買収にあたり、コミッソは前オーナーのデッラ・ヴァッレファミリーに対し、感謝の言葉を述べた。「デッラ・ヴァッレファミリーは17年間の間チームの運営にあたり、強固な基盤を築きあげた」
イタリアのフィレンツェで92年の歴史を誇るフィオレンティーナは、2002年に経営破綻した後、世界的皮革製品ブランドの「TOD’Sグループ」を経営するデッラ・ヴァッレ兄弟が買収していた。その後、チームは復活を遂げたが今シーズンは目立った成績をあげられていなかった。
イタリア生まれのコミッソは、少年時代にボロ布で作ったボールでサッカーをプレイしていた。彼は1962年に12歳で米国に渡り、1971年にコロンビア大学を卒業。同校でMBAを取得したコミッソは銀行業界に進もうとしたが、彼を採用する銀行はなかったという。
「当時の銀行業界には差別があった」とコミッソは2018年のフォーブスの取材に述べていた。「投資銀行のクーン・ローブの連中に言われたことを今でも覚えている。ロッコ、お前はユダヤ人でもアイリッシュでもないだろ。イタリア人の勤め口は、ウォールストリートにはないのさ」
コミッソはその後、カナダのロイヤルバンクで働き始め、メディアや通信業界向けの融資を担当した。そして1986年にケーブルビジョンに転職し、1996年には自身でメディアコムを立ち上げた。メディアコムは現在、年間20億ドルの売上を生んでいる。