ディズニープラス立ち上げまで約半年 ピンチのネットフリックス

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昨年、22~45歳の米国人の半数はケーブルテレビを全く見ていない。さらに、過去10年間でケーブルテレビの契約を終了した家庭は3500万にも及ぶ──。

こうしてケーブルテレビを離れた人は、ネットフリックスなどのストリーミングサービスに切り替えている。現在、米国の家庭の半数以上が何らかのストリーミングサービスを利用している。この傾向は、ほとんどの人が考えるよりはるかに破壊的な影響を含むものだ。

ケーブルテレビの没落により、数十億ドルが株式市場に放出されている。米国の5大ケーブルテレビ企業を合わせると、その価値は約7500億ドル(約82兆円)以上だ。投資家の大半は、ケーブルテレビが残していく利益の大半がネットフリックスのものになると考えている。

これまでのところ、投資家たちは正しかった。ネットフリックスの株価は2009年から8300%もの急上昇を遂げ、アマゾンでさえ比較にならないほどだ。

しかし、こうした過去の成功にだまされてはいけない。ネットフリックスはテレビの未来ではないからだ。

本当に重要なたった一つのこと

ネットフリックスは私たちのテレビ視聴方法こそ変化させたが、見るコンテンツは変えていない。同社はケーブルテレビのシェアを奪うことで大きな成長を遂げた。現在は『The Office(ジ・オフィス)』をケーブルテレビで見る代わり、ネットフリックスで見ているだけだ。しかし、この優位性は持続しない。

実質的に、いつでも何でも見ることができる世界では、シェアの独占は非常に不安定だ。インターネットによりさまざまな選択肢が生まれたため、秀逸な独占的コンテンツを提供することが今や何よりも重要になっている。

大ヒット番組『ゲーム・オブ・スローンズ』の最終シーズンの第1話は、約2000万人がチャンネルを合わせた。これはテレビ史上、スポーツ以外で特に記録的な数の視聴者を集めた番組に数えられる。

ネットフリックスの経営陣は、コンテンツの重要性を理解している。同社は昨年、オリジナル番組の制作に約120億ドル(約1兆3000億円)を費やした。また、同社が2018年に公開したオリジナル番組の数は前年と比べて88%多い。独自の番組や映画への支出は今年、約150億ドル(約1兆6000億円)を越えると予想され、同社は米国のどのテレビ局よりも多い額をコンテンツに投資している。

新たな番組の資金とするため、ネットフリックスは多額の借金を抱えている。債権者から借りている額は現在、約104億ドル(約1兆1500億円)で、昨年のこの時期よりも59%増えている。しかし問題は、ネットフリックスがどれほど資金をつぎ込もうとも最大のライバルに勝つ見込みがないことだ。
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翻訳・編集=出田静

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