そう息巻くのは、米ケーブルテレビ・通信企業「メディアコム」のロッコ・コミッソCEO(68)だ。12歳でイタリア移民として渡米した彼は、自ら立ち上げたメディアコムを推定43億ドル(約4800億円)の企業価値を持つ会社に育て上げた。
コロンビア大学を卒業後、銀行でケーブルテレビ会社向けの融資を担当していたコミッソは、“投資家”のような先見の明で成功をつかんできた。
料金体系を規制し、競争を高める連邦法が制定されたことでケーブルテレビ業界がパニックに陥るや、コミッソは起業して次々と関連会社を安価で買収。同時に通信事業への投資を進めることで、競合を引き離しにかかったのだ。しかも、その一手がネット配信時代の到来で失うことになるケーブルテレビ視聴者を、ブロードバンド利用者として引きとめることにつながった。
時流を読む力に長けたコミッソは今、自社の売却を考えている。
「バフェットとは違うからね。もうオレは十分に満足したよ」
ロッコ・コミッソ◎12歳でイタリアからアメリカへ移住した後、アコーディオンの手腕を評価されて名門中高一貫校へ推薦入学。コロンビア大学でMBAを取得後、チェース・マンハッタン銀行(現在のJPモルガン・チェース)、カナダロイヤル銀行を経て、メディアコムを立ち上げた。大学時代はサッカー部の主将を務め、米五輪代表チームの候補になった経験も。