岡山が創業の地であるアパレル企業ストライプインターナショナルの石川康晴社長。「一社一村運動」は石川が提示したものである。
「一つの県や一つの村から、一つの世界企業が生まれてくるだけで地方創生が起きます。地方の創生が起きることで日本が創生されていきます。日産自動車が神奈川、トヨタ自動車が愛知、ジャパネットたかたが長崎など、大企業が地域活性化に取り組む流れがさらに加速化してほしいと思っています」
石川は、各地で地方創生に貢献している経営者たちとの交流も深い。「千葉のZOZO・前澤友作社長、群馬のジンズ・田中仁社長、茨城のグロービス・堀義人社長、徳島の大塚ホールディングス・大塚一郎会長。そして今後は、富山の創生を目指すラクスル・松本恭攝社長、静岡の創生を目指すビズリーチ・南壮一郎社長の貢献にも注目しています。」と言う。
例えば、ジンズの田中は財団を設立し、2013年から毎年起業家発掘プロジェクト「群馬イノベーションアワード」を開催する。
また今から30年ほど前から、瀬戸内海に浮かぶ小さな島「直島」をアートで創生するプロジェクトを推進するベネッセホールディングスの福武總一郎名誉顧問と石川は親しい関係で知られ、「2、3カ月に一回は会っている」という。
直島は今や「現代アートの島」として世界に知られる観光地となっているが、かくして、ベネッセも岡山に生まれた企業として瀬戸内の地方創生に貢献しているのだ。
また、世界的に見てもローカルから多くの大企業が出てきていると石川は指摘する。「例えば、ネスレやウォルマートもローカル発で大企業に成長しました。ネスレはスイスのチューリッヒにあるわけじゃないし、ウォルマートもニューヨークにあるわけではないんです」。
たしかにネスレは19世紀後半に、スイスのレマン湖北岸に位置するヴェヴェーという小都市で創業した。中世からワインの産地として栄えてきた美しい葡萄畑に囲まれる人口1万8000人ほどの都市であり、今も本社を置く。
ウォルマートもアメリカ南部の田舎町アーカンソー州ベントンビルが発祥の地である。