しかし、ファーウェイはさらに厳しい状況に追い込まれた。5月19日、ロイターは関係筋の話として、「グーグルはファーウェイとの取引を一時停止した。これによりファーウェイのハードウェアは、グーグルのアンドロイドOSの最新版にアクセスできなくなる」と報じた。
ファーウェイCEOの任正非(レン・ツェンフェイ)は5月18日、「我々は既に、これから起こる事態に備えている。ファーウェイの成長は鈍化するかもしれないが、ごくわずかな範囲にとどまる。当社のパートナー企業を脅かす政策をとることで、米国は信頼を損なう」と述べていた。
しかし、米国は最後の切り札を出してきた。ロイターは「今後販売されるファーウェイ端末は、Google PlayストアやGメールアプリにアクセスできなくなる」と報じている。「個別のサービスの対応についてはグーグル社内で協議中」という。
トランプが大統領令に署名した直後に、米国商務省はファーウェイとその関連企業70社をブラックリストに加え、米国政府の承認を受けず米国のサプライヤー取引を行うことを禁ずると発表した。
ファーウェイは「当社を世界から孤立させようとする米国の企みは、失敗に終わるだろう」と述べていた。しかし、ファーウェイが窮地に追い込まれたのは明らかだ。同社はスマートフォン市場で世界ナンバーワンのメーカーを目指しており、その夢に近づきつつあった。昨年、ファーウェイはスマホ市場でアップルに次いで2位になり、首位のサムスンをも撃破しようとしていた。
グーグルとの取引停止で、その夢の達成は遠のくことになる。米国はファーウェイの5G機器の使用中止を同盟国に呼びかけてきたが、同社はスマホと5G機器の双方で窮地に追い込まれた。
中国政府が今後、何らかの対抗策に打って出ることは確実だ。中国外務省の広報担当は5月16日、「米国政府のやり方は間違っている」と発言した。「米国の行いは市場のルールや公平性に全く反するものだ。中国政府は中国の企業を守るため、あらゆる必要な措置を講じる」と中国外務省は述べていた。