米国ネットユーザーが感涙した「最後の母の日」の物語

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米国のネット掲示板Redditのユーザーたちの支援で、30歳の女性が死の間際にある母親と、母の日に再会を果たした。

アレックス・ウエストは4月24日、彼女が置かれた状況を掲示板で語った。71歳の彼女の母は腎臓ガンだという。

「私の母はガンで間もなくこの世を去ろうとしているが、お見舞いに行けず罪悪感を感じている。銀行口座には1ドル32セントしかなく、車なら13時間かかる現地までの航空券を買うことができない。電話で母と話をしたいが、病室に電話はなく、彼女は立ち上がってナースステーションまで向かうことが出来ない。私はただ、かかってくる電話を待つことしかできず、電話が鳴る度に気分が落ち込んでいく」

アレックスの書き込みには膨大な数のコメントが寄せられ、彼女を金銭面でサポートしたいというユーザーも現れた。アレックスは結果的に、1325ドルの支援をRedditのユーザーから受けて、コロラド州からセントルイスまでの飛行機代を支払うことが出来た。

支援の大半はpomagranite16と名乗るユーザーからで、ホテル代やレンターカー代、ガソリン代も工面することが出来た。

「母の身の回りの品を買うこともできた。残りの資金は葬儀のために取っておこうと思う」とアレックスは筆者の取材に話した。

アレックスは5月10日の金曜日にセントルイスに到着し、Redditに病床のやせ細った母の指を手のひらで包む写真を投稿した。「Redditユーザーの驚くべき親切さに感謝したい。おかげで最後の母の日を一緒に過ごすことができた」という彼女の投稿には、瞬く間に数千件のコメントが寄せられた。

「掲示板にはネガティブな人もいるが、大半は良い人たちだ。私はこれから先、ずっと親切にしてもらった事を忘れない」とアレックスは話した。

アレックスの母のボビーは、腎臓ガンだけでなく喘息や心不全、食道炎などの合併症を発祥していた。ボビーはほとんど話すことが出来ないため、アレックスがもっぱら、彼女が学んでいるウェブデザインや日々の暮らしについて話した。言葉に詰まると、アイ・ラブ・ユーと互いに言い合った。

ボビーは彼女の実の母親ではなく、祖母だった。アレックスの生みの母はハードドラッグやアルコール、ギャンブルに溺れ、子供を育てることが出来ないと判断したボビーが、アレックスと彼女の弟を引き取って育てた。

「彼女は私たちを、思いやりがあって、自分がしてほしい事を人のためにする人間になるように育てた。ボビーが居なかったら私の人生はどうなっていただろうと、時々思う」とアレックスは述べた。

「母のことを考えるといつも、彼女が与えてくれた人生をもっと前向きに生きようと思う。今はただ全力で生きようと思っている。母親はパーフェクトな存在ではない。けれど、私は彼女が与えてくれたものに感謝と敬意の念を送りたい」と彼女は続けた。

編集=上田裕資

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