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イタリア北東部ベネト州のプロセッコの原料となるブドウ畑(Getty Images)

イタリアは世界最大のワイン生産国だ。国際ブドウ・ワイン機構(OIV)によると、昨年は約4850万ヘクトリットル(1ヘクトリットル=100リットル)のワインを生産し、フランスとスペインを抜いて首位を維持した。

イタリアはワイン輸出大国でもあり、輸出額は68億ドル(約7600億円)と、フランスに続き2位だった。国内市場も消費と経済価値の両面で拡大している。

イタリアのANSA通信は先月、国際見本市「Vinitaly(ビニタリー)」の開催に合わせ、イタリア国内のワイン市場規模が2018年は前年から2.8%成長したと報じた。

プロセッコが成長をけん引

イタリア国家統計局(ISTAT)のデータによると、昨年の総生産量のうち2000万ヘクトリットル以上が最高水準の格付けであるDOGCやDOCに認定された。

世界中の消費者がイタリアワインの品質に信頼を置いている理由もここにある。

国内外での売り上げが伸び、イタリアのワイナリーの総売上高もこれに応じて上昇。アナリストらは2019年の見通しについて楽観的で、中国市場の成長がイタリアの輸出の基盤となるとみている。


Victoria Ashman / shutterstock.com

伊投資銀行メディオバンカは5年前、スパークリングワインの輸出がワイン業界の国内外での成長において重要な役割を果たしたことを示す調査を発表した。

スパークリングワイン愛好家の多くは、高価なシャンパンよりもプロセッコを選んでいるようだ。

プロセッコは、イタリア北東部ベネト州を代表するスパークリングワインだ。同州は、利益性が高いこの市場の需要に応えるとともに、その景色を変えてきた。プロセッコの世界的人気により、生産地の田園地帯はどこまでも続くブドウ畑へと変容した。

環境への影響

ベネト州ではプロセッコの“ゴールドラッシュ”により、ブドウ畑が増殖を続けた。これにより美しい丘の景色が観光客の目を楽しませるようになった一方で、土壌の飽和が進んだ。

人々は裏庭や道沿い、他の畑など、あらゆる場所にブドウの木を植えていき、ブドウ畑に充てられた土地は5年余りで80%増加。アルプスに近接したプロセッコ生産地域では、ブドウ用の土地を確保するため、森が失われ始めた。

しかし、プロセッコは誰も目にしたことのないような膨大な利益を生んだため、生物多様性の損失は問題視されなかったようだ。

ブドウ畑による土地の乗っ取りは、環境の多様性を脅かすだけでなく、周囲の植物や地元住民の健康も損なっている。プロセッコ生産地では、農薬が広く使用されているのだ。

土壌はこれほど広範で集中的な栽培に耐えられないため、現在の生産水準を維持するために化学製品の使用が必要となった。人々は呼吸する空気や、ブドウ畑のそばで栽培されている食べ物について懸念を抱くようになっている。

住民らは、空気の質が低下し住民の健康を脅かしているとして、こうした有害な製品の使用に反対するさまざまな活動を行っている。

この問題は、数年前にプロセッコ生産地域がユネスコの世界遺産候補となったことで注目を浴びた。地元当局は農薬使用の制限や規制を試みてきたが、プロセッコの問題は一夜にして解決できるものではない。

編集=遠藤宗生

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