心の健康支援アプリは、規制が設けられることなく急成長を遂げている市場なので、きちんとした科学的根拠がないのは意外なことではない。IT情報サイトのテッククランチの分析によると、心の健康向上アプリを含む上位のセルフケアアプリは、世界中で四半期ごとに3000万ドル(約33億5000万円)近く売り上げており、その数字は上がり続けている。最近の予測によると、自己改善市場全体の年間売上高は現在100億ドル(約1兆1000億円)ほどだ。自己改善アプリは、同市場の広告・購読の売り上げの中でますます大きな部分を占めるようになると見込まれている。
そうなると、科学的信頼性が市場の成長に付いていくことは期待できない。栄養サプリメント市場(心の健康支援アプリと同じく概して規制が設けられていない)と同じで、売り上げが科学に勝ってしまうだろう。そうなると、注力すべきは消費者の教育だ。今回のような調査は、売り文句の裏側にある実態を見極める上で役立つものだ。
研究者らはまた、米精神医学会(APA)のような認可組織によるアプリの選別に加え、消費者への商品提供を改善するための業界認定を設けることについて議論する際に、こうした調査結果が重要になると述べた。現時点では、心の健康支援アプリを過信する前に適度に注意してもよさそうだ。また、精神保健の専門家を直接受診することも推奨される。