優れた「アーティストマネージャー」に必須のメンタル3か条

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アーティストマネージャーは責任の重い仕事だ。アーティストを無名の存在からスターに育てあげるための道のりは長く険しく、予期せぬ困難に満ちている。

ダミアン・リッターはかつて、ラッパーのホプシン(Hopsin)とともにインディペンデントレーベル「Funk Volume」を設立し、大きな成功をおさめた。他にもディジー・ライト(Dizzy Wright)、ジャレン・ベントン(Jarren Benton)、スウィズ(SwizZz)などのラッパーやプロデューサーを擁し、経営は順調だった。しかし、同レーベルは2016年にリッターとホプシンの意見の相違により突然消滅した。

その後、リッターは音楽ビジネスに携わる人々を対象とした、教育系プラットフォームの「Music Entrepreneur Club」を立ち上げた。優れたアーティストマネージャーになるには、どのような資質が必要なのか? リッターが重視するのは以下の3点だ。

1. とにかく忍耐強くなる

アーティストのマネージメントは子育てに似ている。ただし、相手は子どもとは異なり、自分の方がわかっていると思い込んでおり、何かと反論する。

ホプシンと出会ってマネージャー業を始める前、リッターはスタンフォードでMBAを取得し、デロイト・コンサルティングやゴールドマン・サックスなどで働いていた。それらの職場で必須だったプロ意識は、音楽業界ではそれほど重視されず、リッターは「忍耐強くなるしかなかった」と言う。

アーティストはいつも電話に出るとは限らない。テキストメッセージがすぐに返ってこないことも多く、Eメールに至っては見ていないこともある。彼らはまた、マネージャーからクリエイティブ面について意見されることを嫌がる傾向があり、マネージャーはビジネスに集中すべきだと言うかもしれない。創作に関するコメントは伝えるだけ伝えて、次の仕事に移ろう。相手があなたの意見を受け入れようが受け入れまいが、あなたの報酬は変わらない。

2. アーティストをビジネスに巻き込む

アーティストにビジネスの裏側を理解してもらうことも、マネージャーの重要な任務だ。リッターは定期的にアーティストと会い、アーティストのキャリア形成の各段階で誰が何を行なっているのかについて情報共有することを勧める。予算表、スケジュール表、契約書といった書類を一緒に見ながら説明するのも手だ。

「マネージャーが普段何をしているのかを垣間見せることで、アーティストは知識を得るだけでなく、あなたの仕事や役割に敬意を払うようになるはず。不和が生じたとしても、彼らがマネージャーの立場や意見を軽視することはなくなる」とリッターは言う。

3. 失敗の全責任を引き受ける覚悟

「マネージャー業は決して華やかな職業ではない。報われないことが多い」とリッターは話す。アーティストのために膨大な時間を費やしたところで、アーティストには感謝されないどころか、気づかれないことも珍しくない。

そんな時は、自分の仕事がアーティストの価値を高めていることに自信を持とう。アーティストのキャリアを支えているのは音楽だけではない。外部との交渉など根気のいる裏方仕事も同じくらい重要だ。特にうまくいった時は、こっそり自分を褒めるといいだろう。

ただし、アーティストの成功は必ずしもマネージャーの成功ではないが、アーティストの失敗はすべてマネージャーの失敗と見なされることを忘れてはならない。

編集=海田恭子

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