記事によれば、「多くの中国人労働者は、“9-9-6”の文化を受け入れてきた。中国のビリオネアたちは、さらに長い時間働いている」。「996」とは、週6日間、午前9時から午後9時までの12時間働くことだ。
「996の働き方を受け入れれば、インドは事業環境を改善することになるだろう。そうなれば、より多くの外国投資を誘致することになり、結果として製造業の競争力が強化されることになる」
「中国を含む外国からの投資が国産製品の費用対効果を向上させることにつながれば、インドは中国製製品をボイコットする必要もなくなるだろう」
米ロングアイランド大学ポスト校のウダヤン・ロイ教授(経済学)は「この記事の内容の大半に同意する」という。「インドには2つの経済の物語がある」という同教授は、次のように語る。
「国民の大半は後進的農業に従事している。そして、一部の教育を受けた人たちが、情報技術(IT)を含むサービス部門で働いている。インドにはいまだかつて、大規模で競争力のある製造業が存在したことがない」
ただ、同教授によると、インドには産業部門に必要な「教育水準が高く、健康で、規律ある労働力が欠如しているとも考えられる」。そして、問題は労働時間ではなく、その点にあるのかもしれない。
労働者の態度にも、問題があると指摘されている。米マサチューセッツ工科大学(MIT)のアビジット・バナジー教授(経済学)によれば、若いインド人たちは、自分が就きたいと希望する仕事への期待感が大きい。
インド紙「タイムズ・オブ・インディア」が先ごろ掲載した記事によると、ある調査の結果、「希望する仕事に就くための研修プログラムに参加した人のうち、採用通知を受け取っても実際に就職した人は、およそ半数だった。さらに、就職しても数週間のうちに、3分の1がやめてしまった」という。
「調査の結果、仕事をやめた人たちはその理由を嫌だったからと答えた。彼らはそのようなことができるほど余裕がある家庭の出身ではない。自宅に冷蔵庫があるという人は、3割ほどだ」
「それでも、嫌だという理由で辞めてしまった。彼らが仕事に求めているのは、安定した仕事であること、給料が良く福利厚生が充実していることだ。さらに、できればデスクワークに就きたいという」
だが、居心地の良いデスクで働けるような仕事は、インドが製造業を発展させ、中国と競い合えるような強さを持つことにはつながらない。インド人労働者がデスクの前で「中国のアドバイスに従って」より長い時間働いても、それは実現しない。