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2019.03.27

中国の新車販売、28年ぶりの「減少」で見えた曲がり角

Photo by Hong Wu/Getty Images

中国の2018年新車販売台数は、前年対比2.8%減だった。前年割れは28年ぶりのことであると報じられている。昨年9月までは累計台数が前年を上回っていたが、7月以降に単月ベースでマイナスに転じ、最後の3ヶ月間は大幅に落ち込んだ。

このトレンドは今年に入っても止まらず、2月は前年比17%減と、8カ月連続で前年割れとなった。中国の自動車業界が低迷期に入ったことは明らかだ。

自動車販売台数減少の最大の要因は、中国経済が昨年から減速を始め、高額商品の売上が低迷していることだ。中国のGDP成長率は昨年6.6%で、過去28年で最低の結果となった。IMF(国際通貨基金)は、2019年はさらに減速し、成長率は6.2%になると予測している。

2つ目の要因は、中国政府のデレバレッジ(債務圧縮)政策により、消費者の購買力が損なわれたことだ。2012年から2017年にかけて、中国の債務残高はGDP比で200%から300%に増加した。中国首脳は、2017年末に北京で3日間会議を開き、金融リスクを低減することが今後3年間の経済政策における最優先事項であることを確認した。

この影響でオンライン融資プラットフォームの多くが経営破綻に追い込まれ、若者が自動車ローンを組むことができずに車両販売台数が大きく減少した。

3つ目の要因は、小型車販売の減税措置が終了したことだ。中国政府は、2016年に排気量が1.6リットル以下の小型車について消費税を10%から5%に半減させた。中国の財政部は、2017年から税率を7.5%に増やし、2018年には10%に戻すと発表した。減税措置によって2016年の販売台数は14%増加したが、その反動から2017年以降は台数が低迷した。

最後の要因は、米中貿易戦争により投資家や消費者の心理が冷え込んでいることだ。上海総合指数は1年間で26%下落し、世界の株式市場で最も低いパフォーマンスとなった。2.4兆ドルもの時価総額が失われ、消費者マインドはさらに冷え込む形となった。

アナリストの多くは、今年の動向は政府の政策次第としながら、前年並みかマイナスになると予想している。
 
長期的に見れば、自動車販売台数が毎年2桁成長を達成する時代が終わったのは明白だ。中国が2001年にWTOに加盟したとき、新車販売台数は240万台だったが、2018年には2800万台に達した。今や中国は世界最大の自動車市場であり、世界の新車生産台数の3分の1が中国で製造されている。市場規模がこれだけ巨大になると、2桁成長を維持することは不可能だ。

中国の自動車業界が飽和状態にあることを示す兆候も見え始めている。多くの都市は、渋滞緩和のために自動車登録を制限し始めた。様々なデータが、中国の大都市圏で自動車業界が成熟期を迎えていることを示している。今後は、地方都市や内陸部がさらなる成長を支えることになるだろう。

編集=上田裕資

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