私たちは、物を修理するより捨てることを覚えてしまった。靴下を繕う人やテレビを修理する人はもはやいない。より多くのものを所有したいという飽くなき欲望に応えるための外部倉庫型の産業を、私たちは作り上げてしまったのだ。
中国が今回変化をもたらすのは物の捨て方だ。私たちの生活には、水を入れて販売する小さなプラスチックボトルや、忙し過ぎて個人的に買い物に行けないのにそれでも物を増やすためたまっていくアマゾンの箱など、再生利用可能なごみが多い。
中国は、私たちが捨てるプラスチック容器やボトル、新聞紙、段ボール箱、鉄鋼くずへの興味を失っている。米中貿易戦争の影響で、米国から中国への大豆や油の輸入は激減しており、米国の貿易赤字は過去最高を更新した。しかし、リサイクル用のプラスチックや紙、金属くずの輸入量が減っている理由は他にある。
原因は、リサイクル品に他のゴミが混ざっている場合、さらに環境汚染が進む可能性があるからだ。そのため中国は、リサイクル可能な廃品に関し規制を設けている。
この規制が市場を破壊している。リサイクル可能な廃品の市場が衰退するにつれ、リサイクル業者は米国の自治体やその他政府機関に対し、廃品処理料金を値上げしている。一部の都市はこうした料金を支払う代わり、リサイクルごみを焼却処理するか埋め立てごみとしている。
これまでは違った。米国人は自宅や野球場、ショッピングモール、職場などでリサイクルすることを覚え、各表示を見分けてどれをどのごみ箱に捨てるかを学んできた。また中国では、米国から増えるばかりのリサイクルごみを受け入れ、別の目的に再利用してきた。
船会社もこの恩恵を受け、フェリーは増え続ける中国からの輸入品を米国全土の港で吐き出した後、リサイクル用廃品を積んで中国に帰っていた。
しかしデータからは、こうした都合の良い状況ももう終わりだということが示されている。米国は2011年、10億ドル(約1100億円)以上に相当する再生プラスチックを輸出しており、そのうち中国が受け入れたのが半分以上だった。その後、米国が2014年に輸出した再生プラスチックは9億5300万ドル(約1000億円)を超えていたが、2018年までにはそれが約半分の4億4566万ドル(約500億円)まで減少した。そのうち中国に輸出されたのは、5%未満のわずか2158万ドル(約24億円)だ。