國光は1年前から、個人のスキルや才能を価値として交換し合えるSNSを構想し始めた。サービス設計では、フィナンシェのブロックチェーンとして採用した「イーサリアム」の設立ストーリーから着想を得た。
2013年、大学生だったヴィタリック・ブリテンがイーサリアムを形づくる思想をまとめたホワイトペーパーを発表。これに賛同した技術者らが開発を支援し、世界に広まっていった。さらに國光は「初期のイーサリアムを応援した人は大きな恩恵を受けた」として、前述のインセンティブ設計に生かしたのだ。
フィナンシェでは、ヒーローカードの購入以外にも、歌手やインスタグラマーとして活躍したい人のために動画を作ったり、ウェブサイトを作ったりするなどの協力もできる。
緊張した面持ちで挨拶する「ヒーロー」たち(筆者撮影)
ミートアップイベントでは、ヒューマンキャピタリストとして参加するdely代表堀江裕介や、READY FORのCEO米良はるか、エンジェル投資家中川綾太郎、B Dash Ventures社長渡辺洋行らが登壇。
「(ヒューマンキャピタリストとして)どんな人を応援したいか」という質問に、米良は「ミッションを持っている人」と答えたのに対して、中川は「逆にミッションがなくて、好きなことを異常に突き詰めた人、『熱狂』に投資したい」と切り返した。
渡辺は「3年前くらいからベンチャー投資はパラダイムシフトしなくてはと思っていた」と振り返り、「ソーシャルな時代になり、個人にフォーカスされるようになり、彼らをエンパワーするのが僕らの仕事」と、ヒューマンキャピタリストの価値観を語った。「ここから、会社を作らなくても年収数千万円という人ができたら良い」。
リラックスして語る投資家らのトークセッションに対して、初期から参加する「ヒーロー」たちは緊張した面持ちで壇上に登場した。インスタグラマー「クレイジーパパ」や、「ベンチャーソングライター」を自称する根木啓輔ら10人があいさつした。
彼らの夢を応援する輪がどう広がっていくのか。渡辺の言う通り、スター・ヒーローが誕生するのか。5月にフィナンシェの正式版をリリースし、アプリやグローバル版のサービスも開発中として、フィナンシェ自身の世界進出も目指す。