キャリア・教育

2019.03.23 10:00

大使夫人も「職業」だ 日本の魅力を伝える確かな方法

Alexandros Michailidis / Shutterstock.com

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日本の地方自治体が海外でプロモーションする際、しばしばお世話になるのが現地の日本大使館だ。各国のディープな情報収集のためというより、現地のトップリーダーや財界人、文化人といった人々の情報や人脈が、大使のもとに集まってきているからだ。

私たちのような一般民間人にはなかなか窺い知れない大使館や大使公邸という場所では、実は、日々さまざまなコトやモノなどの情報の交流が行われている。その内容は政治的な重要機密から文化やアート、観光や食に関する広報的な活動まで実に多岐にわたる。

各国の日本大使館の違いというか、色合いのようなものは、当然ながら着任する大使の独自性として反映される。ワシントンDCやパリやロンドンなど、過去の伝統がしっかりプロトコール(外交儀礼)として引き継がれている大使館では大きな変化は少ないかもしれないが、それでも「社交場」として大使公邸で開催されるパーティなどの色合いは、やはりその時々の大使の人柄や国家的課題などで微妙に変化する。


都内にあるイタリア大使館でのパーティの様子

そんななかで、世界的に無名な「岐阜県」という一地方県を、相手国でブランディングし、知られるようにするためには、ボトムアップよりもトップダウンが一番だとの判断から、敷居の高そうに見える(実際に高いのだが)大使館や大使公邸を活用した現地プロモーションを、積極的に実施してきた。

その際にはまず、県の代表でもある知事から、事前に対象国の日本大使に向けて「私の代わりに局長がご挨拶と相談に行くのでよろしく」と、直接、連絡をとってもらった。そして、私がスタッフとともに「知事の名代で来ました古田です」と現地に赴く。

地方の一局長クラスの人間が、いきなり現地の大使に直接会う、というプロトコールは稀だろう。とはいえ、知事の過去の人脈に依るところもあり、現地の大使にも快く面談に応じていただき、現地のトップリーダー向けのプロモーションを行いたいなどの国際戦略を相談し、公邸等を活用した各種イベントへと繋いできた。

イベントとは書いたが、大使公邸では、100人規模のパーティを大使館と共催して開催することもあれば、相手国によっては「VIPの性質上、直接、親密に話せる関係性をつくる手法をとった方がよい」といった大使からのアドバイスで、公邸で20人程度がひとつのテーブルを囲み、知事と大使、現地のVIPがface to faceで向き合える食事会を開催することもあった。

このように、10年近くさまざまな国々のタイプやタイミング(継続することが重要なので、例えば1度目はパーティ、2度目はディナーなど)に則って動いてきたが、その中とても重要な役割を担っているのが、大使はもちろん、実は「大使夫人」の存在だった。
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文=古田菜穂子

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