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まずは、以下の表を見ていただきたい。

会社員の離職や休職に影響する要因を示したグラフだ。会社を辞める動機としてよく挙げられるのは「労働量の多さ」や「会社の文化と個人のミスマッチ」だが、実はそれ以上に大きく関わる要素があるという。


出典:東京医科大学精神医学分野兼任助教授の志村哲祥など「睡眠および睡眠リズムの問題は職務要因とは独立した有意な離職リスク因子である」(2019)

それが、「睡眠習慣」だ。組織のパフォーマンス向上や離職を防ぐためには、労働環境や働き方だけでなく、社員の睡眠に手を入れるべきなのだという。

とはいえ、ここまで聞くと多くの人は「会社に睡眠を管理されるなんてゴメンだ」と思うかもしれない。

では、会社はどうやって睡眠を通じてメンバーのパフォーマンスを高めるべきなのか? そんな課題に挑戦しているのが、企業向け睡眠支援サービス「O:SLEEP(オースリープ )」を提供するO:(オー)だ。

個人の睡眠サポートと、企業へのデータ提供の2段構え

O: CEOの谷本潤哉は、元々広告代理店に勤務していたが過労で体調を崩してしまう。

それが転機となった。はじめて取得した2週間の有給期間を過ごした無人島で、衝撃的な体験をしたのだという。

「なにもない島で原始人のように体内時計に素直な生活を送ったことで、信じられないほど元気になったんです。それから体内時計について調べるうちに、改めて『睡眠』の重要性を認識するようになりました」

自分のようなビジネスパーソンの労働環境を、睡眠を通じて良くしたい。その思いで立ち上げたのがO:だ。変わった社名も、いま使われている時間軸の象徴である「時計の文字盤」から短針と長針が飛び出して、新しい時間軸(体内時計)を普及させたいことに由来している。


O: CEOの谷本潤哉

では、冒頭の問いに戻ろう。「社員のプライバシーを侵害せずに、睡眠習慣を適切に導く」にはどうすればいいのか。O:はこの問題を、2つのサービスを提供することでクリアしている。

1つ目の「O:SLEEP」は、多くの睡眠計測サービスと同じように、スマートフォンのアプリで睡眠時間や入眠中の動きを記録するサービス。しかし、ほかと大きく違うのは、企業や部署などのチーム単位で導入できる点だ。

メンバーそれぞれの睡眠は、「O:SLEEP」上に保存。毎日のデータをもとに、アプリ上で睡眠衛生に基づいた睡眠コーチングを受けることができる。危険値を上回るユーザーに対しては、O:の提携するプロ産業医や心理士が、所属企業に知られずに介入することもできるという。

これまで導入した企業では、生産性を下げるほどの眠気を昼間に感じる人の割合が、12%近く低下。また、組織活動の中でなかなか表立って探すことができない「辞職の確率が高いメンタルヘルス患者(社員の約2%)」を発見し、アプリの使用でその内の2割近くを改善に導いているという。

文=野口直希

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