さて、その聞きなれないネーミングの由来から入ろう。この名前がなぜ珍しいかというと、マツダがこれまで、車名にはCX-3とかCX-5とか、文字2つと数字1つの組み合わせしか使って来なかったからだ。なぜ、そのパターンを破るのか。それは「社内で作ってしまったジレンマだ」とマツダの広報マンから聞いた。
つまり、CX-30は、新型アクセラ(マツダ3)をベースにしながら、ちょうどCX-3とCX-5の間ぐらいのサイズになっている。となると、「CX-4」というネーミングがぴったりだと思うよね。ところが残念。マツダは2016年に、中国市場の専売車種「CX-4」を出してしまったので、CX-4は使えない。
「正直なところ、社内で随分悩みました。ネーミングはどうしようかと」と広報スタッフがいう。間をとってCX-3.5、なんて気もするが、そのネーミングでは中途半端だし、格好悪い。
そこで上がってきた解決方法は、「0」を付け足すことだったという。実は話によると、こういう「文字2つ、数字2桁つ」というネーミングはマツダのライナップの中で増える可能性があるそうだ。CX-3とCX-5という、主要モデルと主要モデルの間を埋めるカテゴリーに適切だからね。すると例えば、CX-35とかCX-45も十分有り得る。
さて、ネーミングはともかくとして、すでに人気の車種があるにもかかわらず、その中間にCX-30が必要なのか、だ。だって、CX-3とCX-5を見れば、新車種でその微妙な隙間を埋めるのが困難ではないか。
しかし、CX-30はサイズ的にちょうどいい。米国、欧州、そして日本の多くのユーザーが、この手のクロスオーバーに乗りたがっている。というより、その数は増える一方だ。寸法的には、CX-30は三菱エクリプス・クロス、スバルXV、それにジープ・コンパスと同サイズになっている。
つまり、マツダのマーケティングの戦略部門が非常に鋭い選択をしたことになる。隙間がなさそうに見えたところに、美味しい隙間を見つけ出したということだ。CX-30というクロスオーバーは、サイズ的にも、パワートレーン的にも、しかも価格設定的にも、ちょうど良いモデルとしてライナップに加わる。